2010年08月24日

オッカムの剃刀(思考倹約の法則)

●asahi.com(朝日新聞社):単純な考え方ほど素早く真実に近づける ――オッカムの剃刀 - 勝間和代の人生を変える「法則」 - ビジネス・経済
http://www.asahi.com/business/topics/katsuma/TKY201008220083.html

「オッカムの剃刀(かみそり)」は別名、「思考倹約の法則」とも呼ばれています。
中世イギリスの哲学者でフランシスコ会の修道僧だったオッカムのウィリアム(1285?〜1347?、通称オッカム)が提唱した考え方で、「ある事柄を説明するのに必要以上の前提を仮定すべきではない」というものです。
仮説を構築する際に、複雑化を招く不要な前提を取り除くことで、真理により素早く近づこうとするテクニックの一つ。
一つの事象を説明するのに複数の考え方が存在する場合、通常、より単純なものの方が真実に近い場合が多いのです。


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なるほど。シンプルにすることで、物事の本質を見抜こうという事でしょうか。
「単純明快」と言いますと、小説「坂の上の雲」に登場する主人公の兄・秋山好古が真っ先に思い浮かびます。

●神崎のナナメ読み: 「坂の上の雲」の兄・秋山好古に見る「単純明快」
http://kanzaki.sub.jp/archives/001978.html

好古は一身独立することが男子の仕事だと主張し、あえて身辺を単純明快にしていると伝えます。
「何事も単純であれ、悩むな、絞れ」という兄・好古の考えは、主人公である弟・真之の人生に多大な影響を及ぼします。

将棋の羽生善治名人は、自らの思考回路を「『木を見て森を見ず』とは逆の大局観、直感、読みの三つで考えている」と説明しています。
また、将棋の最初の局面では80ほどある手の中から2、3にしぼることを例にあげ、「見切ることが大事」としています。
この「直感」とは、単なる「当てずっぽう」ではなく、「経験の積み重ねから自然に浮き上がってきたもの」だそうです。
また、「情報は捨てる方が重要」だそうで、どうも羽生善治名人の考えというのは、秋山好古そのものではないかと思えてならないのです。

実在の有名な人物達の中にも、このように「オッカムの剃刀」のような考えの人達がいるものですね。


「シンプルライフ」が自分の中でブームだった時がありますが、今の生活も基本は変わっておりません。
所有していたものをことごとく捨てた時期がありますが、あれは所有する事に対するストレスから開放されたかったのかもしれません。
一度リセットすると、いかに今まで無駄に所有していたものが多かったが分かりました。
そんなにモノを持たなくても、人間は生活できるものなんだなあと。
本当に大切なもの、必要なものを考えるのに、身辺整理は役立ちます。
そして今、「カメラ・写真」という一極集中できるキーワードに出会い、そこに最大限のパワーを抽出することで、多くの成果を生み出せました。
それ以外の部分は、かなり削ぎ落した生活になっていますが、生活の満足度は今の方が上です。


複雑化を招く不要な前提を取り除くことで、真理により素早く近づこうとするテクニック・・・・・・それを読んで、自分の仕事を思い浮かべました。

普段、私が専属で交渉事を行っている仕事があります。
今回、様々な事情があって別の部署の人が加わり、その人経由で交渉を行うことがありました。
結果、ダラダラと時間が経過するばかりで、一向に解決しません。
むしろ、登場人物が増えていく一方で、事態は複雑化するばかり。
原因は、その仕事を私以外の人が、詳しく知らないからです。
数多くのケースを解決してきたので、私自身その仕事を解決する最短ルートのようなものを身につけているつもりです。
今回は特殊な事情があるにせよ、私が直接介入できないので、その最短ルートを知らない人達同士が話し合い、混沌化しているのです。
話しが大きくなり、肥大化した部分の解決に時間を費やし、根本的解決ができないまま。
こういうのが一番、仕事上よくないですよね。

「大企業病」と言葉を知っていますか?
大企業病とは、主に規模が大きい企業の組織が官僚的になり、意志の疎通が不十分になってしまい、結果的に経営の意思決定のスピードが遅くなったりして非効率的になったりすることだそうです。
上記は、その一例かもしれません。


なるべく公私共に単純化して、本当に自分がやりたい事、自分に出来る事を見極め、そこに最大限の力を注ぎ込み、結果的には充実した人生を過ごしたいものです。

Posted by kanzaki at 2010年08月24日 22:53