2011年11月13日

伊勢みずほさんセミナー「まちかど行ってみずほ〜今こそふるさとに誇りを〜」【2】

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前回の続きです。

●前回の記事: 伊勢みずほさんセミナー「まちかど行ってみずほ〜今こそふるさとに誇りを〜」【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002497.html

●話した項目
(1)自己紹介
(2)東日本大震災を経験して
(3)チャリティーTシャツ
http://kanzaki.sub.jp/archives/002497.html

(4)まちかど行ってみずほ・商店街の魅力
(5)路地連新潟
http://kanzaki.sub.jp/archives/002498.html

(6)ご当地B級グルメについて
(7)ふるさと愛は、家族愛
http://kanzaki.sub.jp/archives/002499.html

今回は話した項目のうち(4)〜(5)についての概要、
及びご本人の話された言葉をテキスト化して掲載します(以降、順次掲載します)。

●(4)〜(5)の概要
テレビの取材で、新潟各地にある商店街をたくさん巡りました。
商店街を利用する人が少なくなり、店が少なくなってきています。
しかし、商店街は人との繋がりを大切にする場所。
「地域家族」としての場所を守るためにも、皆さん積極的にお店を利用しましょう。

全国各地で待ち歩きブームが広がっています。
新潟には昔から小路がたくさんあり、それを観光資源としていこうという動きがあります。
「路地連新潟」と行政が取り組んでいる活動を紹介します。

(以下、伊勢さんの講演をテキスト化したものです。
表示されていない場合、下記に「続きを読む」が表示されていますので、それをクリックしてください)

【まちかど行ってみずほ・商店街の魅力】

今日のタイトル「まちかど行ってみずほ」。
先ほど手をあげてくださった方が多かったので、ちょっと期待してしまいますが。
この「まちかど行ってみずほ」を知っているよという方、いらっしゃいますか?

●BSNテレビ イブニング王国「まちかど行ってみずほ」
http://www.ohbsn.com/eveoh_mizuho/

今、放送されていないんでけれど・・・あっ、ありがとうございます。
じゃあ逆に、知らないよという方、いらっしゃいますか?
ありがとうございます。
殆どの方が観ていただいて、ありがとうございます。

これはですね、テレビは終わってしまって、ラジオに移行しているのですけれども。
新潟県内の商店街ばかりを巡って、町並みですとか、美味しいもの、そこに暮らすお店の人情話などをお送りしてきました。
これは5年間続いたコーナーで、40以上の商店街、400〜500店舗ぐらいご紹介させていただきました。
それが私の財産となっています。

百聞は一見にしかずということで、皆さん観たという事で、もしかしたら「あっ、観た、観た」という方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょっとDVDを持ってきましたので、はじめてご覧いただく方、こんなコーナーをやっていました。
ちょっと観ていただきたいと思います。

これはですね、BSNが55周年の時に流したものなんですけれども。
ちょっと、10分ぐらいのコーナーです。
「フレッシュ本町編」を持ってまいりました。

(DVDを再生・商店街の各お店を取材した内容)

はい、どうもありがとうございます。
こんなコーナーが、「まちかど行ってみずほ」でした。
最後の(お惣菜屋の)おかあちゃん。
おかあちゃんじゃ怒られる、怒られる。
お姉ちゃん、いや、お姉さん。
いつも会いに行くとですね、「あんたは結婚できないわ!」といつも言われるんですね。
理由を教えてくれないんですが、なんかそれが当たっているようで怖いんですけれどもね。
本当、お姉さんたちが作るお惣菜、めちゃくちゃ美味しいですので、是非、フレッシュ本町に行ったときには寄って、あのお顔を見に行っていただきたいと思います。

ちょっとこれ、宣伝になっちゃうんですけれど、このコーナー、JNN協議会賞という全国のTBS系列の番組で競うコンテストがありまして、そこで日本一になったんですね。
本の出版も、先ほどご紹介いただきましたが、「まちかど行ってみずほ」という本になって、電子書籍化もされているんですね。
この本が売り出されるとき、私たち「あちゃー」と思った事があって。
新潟弁でいうと「あきゃー」とか思った事がありまして。
村上春樹さんの「1Q84」という凄い爆発的に売れた本がありましたけれども、同時期に発売だったんですね。
「あら〜、もう駄目だね」って言っていたら、奇跡の春樹超えをして、なんと売れている本のランキングでその時だけ一位になりました。
一週間だけだったんですけど(笑)

その時に私たちが感じたことがあります。
あれ? やっぱり、商店街は人気者になりうるんだ!
商店街は、実はみんなに求められているんじゃないか。
という事だったんです。
県内の商店街をずっと取材してきて辿り着いた事。
それは、商店街というのは今の時代、かけがえの無い場所であり、観光地にもなりうるんだ・・・という事です。
みんな本当は商店街が好きで、憧れの存在なんじゃないかなと。
商店街のおじちゃん、おばちゃんと仲良くお話もしたいし、お惣菜も買いたい。
そんな存在なんじゃないかなって、私は本当に思っています。

昭和レトロとか、映画の「三丁目の夕日」や、スローライフブーム、ご当地B級グルメの爆発的人気、これ全てが日本人に何か懐かしさ、懐かしい商店街の雰囲気に憧れを持っている表れなんじゃないかなと思います。

B級グルメというのも、殆ど商店街から生まれて、根付いているものです。
では何故、商店街の人情が求められているのか。
ちょと自分自身も胸が痛いデータがあったのでご紹介したいと思いますが。

今、若い人もお年寄りの方も含めて、単身生活者の数が、めまぐるしい勢いで増えている。
皆さんも耳によくしていることかもしれませんね。
夫婦と子供からなる標準世帯の数を一人暮らしの人の数の方が上回っているんですね、今は。
1990年のデータと今を比べますと、65歳以上の高齢者では、90年代は118万人だったのが、今はなんと423万人。
凄い増え方ですね。
そして20代ののびが30万人ぐらいなのに対し、30代ののびが121万人。
そして、40代も倍増です。
つまりどういうことかと言うと、未婚率が高くなって、離婚率も高くなった。
そして、高齢化が急ピッチで進んでいる。
という事が浮かび上がる数字だと思います。
それに伴って増えてきたのが、「孤独病」と呼ばれている精神疾患だそうです。
これはも一人の寂しさから来るものなんだそうですが、商店街の皆様のお話を聞いていますと、さっきのおかあちゃん・・・あっ、お姉さんのお話にもありましたとおり、この問題を既に肌で感じていらっしゃいました。

「一人暮らしのお年寄りの方が多いでしょう。だから、小さく小分けにしてパックにして安く売っているのよ」なんていう声が、どこの商店街に行っても聞きました。
ここが無くなったら困るっていうお年寄りの方が大勢いらっしゃいます。

更に、子育て世代にしてみれば、核家族化が進んでいる中では、人生の先輩が大勢いる商店街は最高の場所です。気軽に相談できます。
もっと言えば、例えば痴呆症のお年寄りがいても、商店街を歩いていても、みんなが誰なのか分かっていれば、安心して歩いて生活していけるのが、商店街だと思います。

本当の家族との交流も薄くなって、孤独病という病気が出てきているのであれば、地域みんなが家族になる「地域家族」として支えあえれば一番いいんじゃないかなと感じました。

みなさん、どうですか?
最近、商店街でお買い物をされていますか?
いつも商店街で買い物をされているという方?
あれっ、お一人ですか?
ここから見ると、商店街の人もいるようですけれどもね。
あのー、じゃあ、商店街が無くなってもいいという方。
今は殆ど使わないから、商店街は今の時代、いらないんじゃないか・・・正直でいいですよ。
お一人・・・でしょうかね。
他の方たちはもなくなるのは困る。
無くなったら寂しいという方?
あっ、殆どの方が・・・ありがとうございます。
そうなんです。
以前、番組でもアンケートをとった事がありまして。
商店街は最近、あまり行かないけれども、無くなったら絶対に嫌だ、困るという意見が一番多かったんですね。
でも、これって本当は寂しいことだと思います。
本当に無くなっては嫌だと思うのであれば、私たちは利用しなければいけないんですね。
町並みもそうですし、無くなったら嫌だなあ、困る、寂しいなあというお店は、意識して利用して買い物して、その町を歩いていかなければいけないと思います。

例えば去年、私たちはそのことを目の当たりにしました。
大和デパートや北光社さんですね。
最終日の映像を観ました?
閉店の日、あんなに人がいっぱい来ていたじゃないですか。
あんなにたくさんファンがいたお店が、何で閉店しなければいけなかったのか。
それはやっぱり、普段から意識して使ってもらってはいなかったから。
郊外の大型店ばかりを利用してきた私たちが、町並みを変えてしまったと言っても過言ではないと思います。
それが時代の流れだという考え方もあるかもしれませんが、でも残したいならば、やっぱり利用すること、意識して買い物をすること。
私たちが守っていく必要があるんじゃないかなあと思っています。
それはお店であり、商店街であり、町並み・風景も同じです。

もう一つの魅力が、地域の個性があらわれる場所であること。
グルメにしても、建物・人家にしても、その土地の歴史や文化が、地域性となって色濃くあらわれるスポットが商店街だと思います。
だから、歩いていても非常に楽しいんですよね。
私は商店街や町歩きが大好きです。

全国でもそこにしか無い町並みがあるのが商店街。
または住宅街だったりすると思います。

【路地連新潟】

ひとつここでご紹介させていただきたいのが、その商店街を取り巻くブームとなっている、今、町歩きブームというのが、新潟でも訪れてます。

新潟の町歩きを楽しんでいらっしゃる方、いますか?
あっ、結構、手があがっています。
ありがとうございます。

これがですね、ふるさとの風景をいかに残していくことが大切かっていうかを私は教わったグループがいらっしゃるんですが。
最近、ある賞を受賞した新潟市の取り組みです。

これは商店街も含めて、昔ながらの風景を歩く町歩きで、県外からもお客さんを呼んでいる、ちょっとマニアックな取り組みです。
楽しんでいるところに人は自然に集まってくるという考えを持っているのが、「路地連新潟(ろじれんにいがた)」というグループの皆さんです。
あまり聞いたことが無いと思います。
まだちょっと、アンダーグラウンドな感じがする路地連新潟。
このグループの発足の仕方が、ちょっと他のグループとは違って面白いんですね。

小路(こうじ)を面白がっていた一人の男性・野内さんという方なんですが、一般市民の一人の男性が、「ここは、こんな小路があって、こんな名前があるんだ」と面白がって、ぺたぺたと自分で張り紙を貼って紹介していたんです。

ここは○○小路で、こんな歴史があるよと貼っていたんですね。
それを偶然、たまたま見つけた行政の方が、「あれっ? 市民の中に面白いことをしている人がいるなあ」というので気に留めて、それで連絡をとりあって。
今、みなさん町の中のいろんなとこに小路の案内板が立っているのを見たことがありますでしょうかね。
とっても素敵な案内板が、至る所に立っています。
あれを作ったのが、路地連新潟。
新潟市の行政とタッグを組んで作ったのが路地連新潟です。

どんな案内板なのか。
みなさん、お手元に緑の「ロジノリ」っていうのをお持ちでしょうか?

●「ロジノリ」の紙面:みなとまち新潟 日和山 五合目から
http://blogs.yahoo.co.jp/hiyoriyama5/65300712.html

入るときに配らせていただいたんですが。
発足の仕方とか、どんな活動をしているのかを簡単に漫画チックに書かれているので、ちょっと見ていただきたいと思います。
これは無料で、様々なところでこれから配布される予定です。
出来立てホヤホヤです。
まだ、どこにも出回っていないんじゃないかなと思っているんですけどね。

この路地連新潟、具体的にどんな事をしているかと言いますと。
もちろん、シティガイドさんがいますので、観光客とか市民の希望があれば、町案内をしたり、マップ・看板を作ったり、ツイッターで告知をして希望者があれば、凄くマニアックな街歩きをしたりしています。

●新潟シティガイド〜歴史あるみなとまち「にいがた」を一緒にあるいてみませんか?〜
http://www.niigata-cityguide.com/

楽しんでいるんですね。
何のためにそんな事をしているのか?
それはシンプルです。

たくさんの人に、自分達の街に関心を持ってもらって、楽しいっていう感覚を共有してもらいたい。
凄くシンプルな気持ちで活動しています。
街を楽しむためのヒントを発信しているんですね。
普段、私たちが何気なく歩いている小路だとか住宅街。
そこには、こんな歴史がある、こんな角度から見たら面白いんじゃないのか、こっちからこういう見方も出来るよね・・・っていう事を発信しているんですね。

新潟って、小路がいっぱいあるのをご存知でしょうか?
大きい小路だと柾谷小路とか、広小路、いろんな小路があります。
もっと面白い名前で、ぴんちゃん小路、権現小路なんて名前がついているところがあるのですが。
その「ロジノリ」にも出ているかもしれませんが、写真を数枚でしかありませんが持って来ました。
チェックしてみましょうか。

※「木下小路(きのしたこうじ)」

●【絵と写真はこちらを参照してください】新潟の町小路めぐり<古町通編> 木下小路 - みなとまち新潟 日和山 五合目から - Yahoo!ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/hiyoriyama5/51124833.html

この絵が看板に付いているんですね。
これを描いているのが、イラストレーター野内隆裕さん(路地連新潟 代表)という方です。
写真を撮って組み合わせて、全部細かく書くんですよ。

この木下小路(の写真)がこれです。
はい、ここを描いたものですね。
ここは、街の方が通る人達を楽しませようという事で、その両脇のおうちの方が自らお花を飾っています。
東京から来た人は、「スペインのようだね」なんて表現をされていました。

次の写真をお願いします。

※「権現小路(ごんげんこうじ)」

●【絵と写真はこちらを参照してください】新潟の町 小路めぐり 権現小路 - みなとまち新潟 日和山 五合目から - Yahoo!ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/hiyoriyama5/38070256.html

権現小路という名前が付いています。
絵に「今年も豊作」なんて書かれていますが、ここは私も好きなところで、なんか上に実ってますよね。
実際の写真はこちらです(沢山の植物のツタ)。
モジモジャとなっていますよね。
次の写真(キウイの実)。
よく見ると、キウイがなっているんですね。
一般の家庭です。
で、すごく一杯なるんですよ。
100個以上なっているんですよ。
一個ぐらいいいだろうと手をのばしたんですが、ちょうど届かない高さにあるんですね、これが。
で、季節になるとここのおじさんがハシゴにのって収穫されるんです。
とっちゃ駄目ですよ。
これは、おじさんのものですからね。
このおうちの。

次の写真をお願いします。

※「碇屋小路(いかりやこうじ)」

●【絵と写真はこちらを参照してください】新潟の町 小路めぐり 碇屋小路 - みなとまち新潟 日和山 五合目から - Yahoo!ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/hiyoriyama5/38070061.html

私が好きな小路は、実はここなんですけれどもね。
人や自転車がすれ違えないようなところですよね。
木造の家屋があって、物干し台が両方にあって、人が住んでいる匂いがするというか、生活の風が感じられる、そんなところが私は好きなんですけれどもね。

(その後、何枚か同様に小路を紹介)

今見ていただいた風景が、大きく言えば観光資源になっているという事なんです。
新潟は、県外から(友人が)来た時に、「街に連れて行く場所が無い」なんていう方が、まだまだいらっしゃると思いますが、そんな事はありません。
今の小路を歩かせてください。
県外の人は喜びます。
え〜と思うかも知れませんが、本当なんです。

私も仙台から新潟に来て一番嬉しかったのが、この小路があったことなんですね。
こんないい風景がある、素敵な新潟でこれからお仕事が出来るのかと感動しました。
この小路、これは、ハードの部分は何もいじっていません。
いわば、普通のおうちです。
昔からそこにあった何気ない、懐かしい風景ですよ。

行政というのは本来は、小路というのは、どんどん無くしていきましょうという立場なんだそうです。
やっぱり、緊急車両が入れないので、そういった安全面からは、どんどん無くして、道路を拡張していきましょうという立場なんだそうですが。
新潟は、本当に話しが分かる行政マンがいらっしゃって、こういった小路を観光資源にしていこうと活動を続けているんです。

路地に関して言えば、県外の人達からうらやましがられる程の環境にあります。
東京の人達は、これを目指して来ているんですね。

今、「ブラタモリ」という番組もブームになってまして、タモリさんが古地図を見ながら、こういった小路を巡る番組が流行っているのですが。
そんなブームもあって今、路地連新潟が一生懸命活動しています。

今年、社団法人日本都市計画学会の「自治体優秀まちづくりグッズ賞」の10選に選ばれました。
202団体からの受賞だったので、路地連新潟の皆さんも、ますます頑張っています。

是非皆さんも、街歩きの参考に(路地連新潟が作った)マップを片手にですね、まずは新潟の皆さんにもっともっと歩いて楽しんでいただきたいなと思います。

【続く】

次回の記事: 伊勢みずほさんセミナー「まちかど行ってみずほ〜今こそふるさとに誇りを〜」【3】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002499.html

Posted by kanzaki at 2011年11月13日 14:57