2014年10月15日

「失敗できる場」が若手を育てる〜TBSラジオ「文化系トークラジオLife」プロデューサー・長谷川 裕さん

TBSラジオのプロデューサー・長谷川 裕さん。
長谷川さんは「失敗できる場」が若手を育てると語っています。
(東洋経済より)


自身が立ち上げた番組「文化系トークラジオLife」は、すぐれた放送番組へ贈られるギャラクシー賞大賞を受賞しました。


●TBS RADIO 文化系トークラジオ Life
http://www.tbsradio.jp/life/


この番組は、人材輩出番組とも呼ばれています。
荻上チキ、津田大介、速水健朗、古市憲寿などの言論人を早い段階で出演させ、その後、彼らは活動の場を広げました。


新人を起用する方針は、立ち上げ当初からの考え。
出演する人達は、放送メディアの経験がほとんどありません。


それ故、低視聴率→放送回数削減→日曜深夜へ移動→大物ゲストは呼べない。
開き直って、かえって挑戦的なキャスティングが出来るようになり、成功しました。


新人起用の機会を増やすため、工夫しています。
本放送以外に、サブ番組をインターネットのみで提供したり、スタジオに「観覧席」と称した席を設け、話題によってマイクを渡して発言させます。
本放送よりハードルが低い場を設け、出演の機会を作っているのです。


こうした取り組みの理由は、「失敗できる場」を作ること。
この番組は出演者が多いので、一人が失敗しても周りの人で補うことができます。
数度の失敗で判断する必要はない。
番組との相性さえ合えば、次の機会を考えます。


数万人規模のリスナーがいて、本職のスタッフが支える本物の番組。
緊張感が走ります。
そういう「実践」の場だからこそ、失敗すれば反省するし、成功したときには自信になるのです。


成熟、低成長の時代は、保守的になりがち。
今の日本を見渡しても「失敗できる"実践"の場」を持つことは重要ではないでしょうか。


※※※


今の若い人たちが可愛そうだなあと思うのは、いきなり実戦投入されてしまうことです。
即戦力を期待されてしまいます。
しかし、いきなり高いハードルを設けられても、一部の人しか乗り越えられません。
乗り越えたとしても、長期に渡っての維持は難しく、体か心を壊してしまいます。
使い捨てにされるような扱いなんて、誰だって嫌ですよね。


確かに今、失敗ができる場所がありません。
仕事も、遊びも、ネットさえも。
失敗が許されないから、小さくしか動けません。


成長に必要な「失敗」という要素は、もはや今の社会では許されなくなっています。
逆にいうと、相手に成長も期待しておらず、指示通り動けと言っているのです。


しかし、失敗を許さないのも、成長を期待しないのも、あくまで相手・他人です。
仕事以外でもいいですから、自分が主体になって何かをやってみませんか?
それは過去、誰かが通った道かもしれませんが、知識と経験は違います。


例えがしょぼくて申し訳ないのですが、先日、サイクリング中にタイヤがパンクしました。
まわりには何もなく、助けてくれる人もいない。
自宅まで、何十キロもある。
幸い、部品と工具はある。
経験が浅いし、何度やってもうまくいかない。
しかし、焦りながらも、なんとか修理できました。
あの時の達成感・満足感は、経験したからこそ味わえたものです。
こういう小さな積み重ねが、他の所で自信になるのではないでしょうか。


●新潟県三条市へ80kmのサイクリング〜出先で、タイヤがパンクしてしまいましたが、なんとか自力で修理しました
http://kanzaki.sub.jp/archives/003206.html

Posted by kanzaki at 2014年10月15日 22:49