2014年11月04日

日本画制作日記season2〜下描きをカンバスへ転写する

日本画制作season2の2回目です。


●前回の記事: 日本画制作日記season2〜背景を塗る/フランス人のアーティストさんも日本画塾に来ました
http://kanzaki.sub.jp/archives/003202.html



【背景の再塗装】


和紙を貼った日本画用木製パネルに、背景となる色を着色しました。
前回の塗装では飽きたらず、その上から何回か塗り重ねしました。


岩絵の具「紫群青(な 新岩 白 ウエマツ)をベースに、岩絵の具「松葉緑青(新岩 13)」をマダラに塗装しました。


大量の温かいニカワ液に、少しの「松葉緑青」を混ぜ、それを海綿に染み込ませ、和紙の上を叩くように塗装します。
乾燥すると、下記のようになります。


nihonga2-2-1.JPG


泡だった「松葉緑青」色のニカワが乾燥し、表現は悪いですが、「カビみたい」な感じに着色されます。
このカビみたいな泡立ちは、かなり立体的であり、指で触るとデコボコしております。
前作より、このデコボコ感を強力にしました。


nihonga2-2-4.JPG


このデコボコの塗装は、ニカワ液の光沢が物凄いです。
見る角度によっては輝きの為、下描きの線が見えなくなるぐらいです。
光沢が出たのは、少し温度が低めのニカワ液で彩色したからかもしれません。
日本画は、見る角度によって表情が変わるのですが、それをさらに極端にやってみました(偶然ですが・・・)。


誰に教えてもらった訳でもなく、前作の経験から、自分で編み出しました。
他の絵画教室の生徒さんで、ここまで立体的な塗装をする人はいません。
今後、この上に様々な色を塗る訳ですが、下地がこのようにデコボコしておりますので、かなり面白い表現になるのではないかと期待しています。


ここまでで、岩絵の具を10回ぐらい塗り重ねています。
これだけ塗っても、和紙が切れたりびくともしません。


理由は、その前準備をしているからです。
この和紙の下に、丈夫な「三彩紙(違ったかも?)」を下張りして、パネルの灰汁から作品を守っています。
和紙には、色がにじまないようにドーサ液を塗り、さらに、塗った色が綺麗に発色しやすいように「胡粉(ごふん)」という顔料を塗ってあります。
「胡粉(ごふん)」は、雛人形や能面などに使われる白い顔料です。
これだけ手間がかかっています。
今回は、ここまで前準備をしておきながら日本画教室を辞めた人のものを流用しております。
手間だけではなく、結構、材料費も高いので、このまま捨ててしまうのはもったいないですから。



【下描きを転写する】


nihonga2-2-2.JPG


あらかじめ、習字に使われる和紙に、下描きをしておきました。
前作と同じくヒマワリです。
前回は、ヒマワリが6つ咲いていましたが、今回は4つです。
数を減らした分、前作より、約130%大きくしました。
花びらを一つ一つ、前作より細かく描きたかったからです。


カンバスと、下描きをした和紙の間に、転写シートを挟みます。
上から、0.28mmの極細ボールペンで強くなぞり、カンバスへ転写します。
転写シートの色は白で、あとで消しゴムで消すことも可能です。


前作と違って、下描きの転写時点では、それほど描き込みをしていません。
周辺の細かい葉や花も描いていません。
中心となるヒマワリ4つと、それと大きな葉だけです。


細かい葉や花、葉っぱの葉脈、その他細かい線を描いても、色を塗る時点で見えなくなってしまいます。
だいたいの下描き→大まかな彩色→その後に細かい描き込み&彩色とやっていけばよいのです。
それに、最初から細かすぎると、いつまで経っても全体像が描けず、精神的に絶望感を味わってしまいます。
前回は、そういう事もあったので、今回はほどほどにしてあります。
しかし、今回の作品の方が、最終的には前作より細かくなるはずです。


ちなみに下記は前作。
このレベルまで描くのに、今回はどれぐらいの時間を費やすやら。
前作は、1年半かかっています。
(ちなみに前作は、これで完成したわけではありません)


寒い冬が訪れ、外出する機会も減ってくるので、書斎で頑張って描きますよ。


nihonga2-2-3.JPG

Posted by kanzaki at 2014年11月04日 23:02