2015年01月15日

世界は1冊の本だ。旅をしない人々は本を1ページしか読んでいないのと一緒だ(アウグスティヌス)〜ただし、観光旅行だけが世界の1ページではない

「世界は1冊の本だ。旅をしない人々は本を1ページしか読んでいないのと一緒だ」

これは、アウレリウス・アウグスティヌス(Aurelius Augustinus, 354-430)の言葉です。
古代キリスト教世界で最大の教父、神学者と言われています。


なんとなく理解できます。
理解すると同時に、自分自身はこれだけ生きてきて、果たして何ページ開いたのだろうかと不安になります。


ここでは、「旅」と言っていますが、なにもそれは観光旅行だけを指しているのではないと思います。
いつもとは違う環境に身をおくことで、予想外(ハッピーなサプライズ、バッドなアクシデント)を経験し、思考をフル回転させる事ができれば良いのではないかと思います。


日帰りのドライブ、ちょっと長めの距離をジョギングやランニングだって、刺激があれば、世界の本を数ページ読むことになるのではないかと思います。


例えば、私は去年、自転車であちこち日帰りで走りました。
その際、自転車のタイヤがパンクしてしまいました。
あの時は焦りましたが、必死になって乗り切りました。
あの経験は、遠い旅をしたのと同じくらいの達成感がありました。


●神崎のナナメ読み: 新潟県三条市へ80kmのサイクリング〜出先で、タイヤがパンクしてしまいましたが、なんとか自力で修理しました
http://kanzaki.sub.jp/archives/003206.html


移動だけではありません。
有名な絵画を鑑賞したり、名作と呼ばれる小説を読みふけることだって旅だと思います。
ただし、その場合は、アウトプットがある方が良いですね。
感想をSNS等に書いたり、人に話したりする事で、自分のものになると思います。



先日、新潟にあります高級アウトドアブランド「スノーピーク」をご紹介しました。


●神崎のナナメ読み: 高級アウトドア用品を手がける新潟県三条市の会社「スノーピーク(snowpeak)」〜NHKクローズアップ現代で紹介されました
http://kanzaki.sub.jp/archives/003263.html


スノーピーク代表取締役・山井 太さんは、行き詰まった時、3日くらい1人で山にこもるそうです。
仕事に追われて辛かった時期、救ってくれたのは自然だったそうです。


1996年、社長に就任した時、世間はアウトドアブームが終わっていました。
夜中1〜2時まで体調を崩すほど働いても業績は低迷。
仕事を楽しめない、売り上げは立たない。
そこで我に返りました。
抱え込んでいた業務を分担し、自身は社長としてベクトルを示すことに集中する今のスタイルになりました。


その頃、社員の提案で、ユーザーとのキャンプイベントを始めました。
空いた時間をそれに費やし、「ああ、自然に触れるっていいなあ」と、人間性を回復できた実感があったそうです。
さらに直接、お客さまの生の声を聞けたことが、V字回復につながりました。


年を重ねた今は、配分が大事だと考えているそうです。
通常、社内にいるのは4時間ほど。
あとは、人と会う時間に使っています。
前回の記事で書いたとおり、人とのつながりが、自社と地元のブランド向上へつながっています。



糸井重里さんは、ご存じ「ほぼ日刊イトイ新聞」の主宰者です。


糸井さんも、スノーピーク社長同様、昼間は人と会う時間に使っています。
夜10時から4時30分までは、自分のために使っています。
DVD鑑賞、犬と遊び、ジャムを煮たり・・・。


リフレシュは、京都へ行くことです。
食事の予定を入れたり、本を読んだり、リゾートでやることをしています。
今は、2、3ヶ月にいっぺんの頻度。
2泊3日のときもあれば、1週間ぐらいの時も。


そういう時こそ考えられることもあるので、仕事道具も一応送る。
たいていは仕事をしません。
しかし、そういう時こそアイデアがたくさん生まれます。



お二人共、普通の旅とはちょっと違いますよね。
慌ただしい観光はしません。
むしろ、普段よりリラックスしています。


お二人共、普段の仕事が、強烈な刺激の連続の中にあります。
刺激の中が普通だからこそ反対に、静けさの中の方が、違った意味でのスローペースな刺激が体感できるのでしょう。
これも確かに、普段とは違う世界に身をおくことになり、世界の本を開くことになっていると思います。

Posted by kanzaki at 2015年01月15日 23:06