厚生労働事務官・村木厚子さんが、日経アソシエのインタビューに答えていました。
「郵便不正事件」の冤罪により、拘置所生活を送り、最後に無罪を勝ち取った方です。
興味深いので、一部ご紹介します。
できれば是非、雑誌本編をご覧ください。
●村木厚子さんの経歴:
2008年に雇用均等・児童家庭局長に就任。
2009年6月、郵政不正事件で逮捕・起訴されました。
2010年9月の裁判で無罪が確定しました。
復職後、数々の活躍を経て、2013年7月、厚生労働事務次官へ就任しました。
女性の事務次官は16年ぶり2人目です。
郵便不正事件とは?郵便割引制度を悪用して多額の郵送料を免れたとして、大阪地検特捜部が09年2月以降、広告会社幹部らを摘発。
捜査の過程で、偽の証明書が厚生労働省から発行されたことが判明。
特捜部は09年6月、村木厚子・同省元局長らを虚偽有印公文書作成・同行使容疑で逮捕したが、村木氏は昨年9月に無罪判決が確定した。
●Amazon.co.jp: 私は負けない 「郵便不正事件」はこうして起きた 村木 厚子 本
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(カスタマーレビュー全員が、高評価・星5つを付けています)
※
【今できることは何か?】
冤罪にもかかわらず5ヶ月近くにおよんだ拘置所生活。
「考えても仕方がないことは考えない」。
これを心がけて、「今できることは何か?」に集中することで、少し楽になったそうです。
※
【心が潰されないために行った事】
これから始まる取り調べを乗り切るためにできることはなにか?
まずは健康管理をしっかりして、落ち込んで精神的に潰れないようにすることから始めました。
きちんと食べて、寝て、好きなことをする。
拘置所では読書に時間を割き、気分転換を心がけました。
※
【リストアップしてみる】
拘置所生活の時以外も、今まで仕事や育児などでパニックになりかけた事が何度もありました。
そんな時、「今、何ができるのか」をリストアップしていくと、物事が整理され、不思議と心が落ち着きました。
・リストアップは3つに分けて整理します。
(1)今できること
(2)次の段階で手が打てること
(3)いい方法だが、今はできない。後になってできること
この3つに分けて整理していくと、「今できること」はそう多くないことが分かります。
それを直ちに手を着けるのです。
仕事や育児で危機が訪れて大変な時ほど、そうやってリストアップして整理し、「今できること」から始める習慣が身についたそうです。
拘置所で勾留された時も、同じようにしました。
※
【あなたが自分で決めること】
拘置所生活の時に読んだ本に「サマータイム・ブルース(サラ・パレツキー)」がありました。
●Amazon.co.jp: サマータイム・ブルース〔新版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) サラ・パレツキー, 山本やよい 本
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本の一節が、当時の自分の心境にピッタリだったので、ノートに書き写しました。
「あなたが何をしたって、あるいはあなたになんの罪もなくたって、生きていれば多くのことが降りかかってくるわ(中略)だけど、それらの出来事をどういう形で人生の一部に加えるかは、あなたが自分で決めること」
逮捕・勾留されることは、自分の力で変えられないかもしれない。
でも、それをどんな形で人生に加えるかは、自分で決めることなんだと思えたそうです。
だから、この本には勇気づけられたのです。
※
【目標を低く設定すること】
担当した弁護士から言われたこと。
「取り調べというのは平等な土俵じゃない。
検察官は取り調べのプロで、あなたは素人です。
取調室には、裁判官という審判もいないし、弁護士というセコンドもついていない。
"勝つ"のではなく"負けなければいい"。
ここ(取調室)で負けたら、裁判で勝てるチャンスは小さくなってしまう。
"負けない"ためには、"やりました"と言わなければいい」
勝たなくていい。負けなければいいんだと割りきりました。
目標設定のハードルを低くしたのです。
気が楽になり、勇気が出ました。
※
【一日が一生】
天台宗の僧侶・酒井雄哉(さかいゆうさい)さんの言葉に救われました。
当時、追い詰められた状況で、先が見えない不安ばかりが募っていました。
酒井さんの著書「一日一生」という本に、こんな言葉がありました。
一日が一生、と思って生きる。
●Amazon.co.jp: 一日一生 (朝日新書) 天台宗大阿闍梨 酒井 雄哉 本
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今日一日頑張って夜眠れば、それで一日は終わり。
明日はまた新しい人生が始まる、という意味です。
「この状況はいつまで続くのだろう」
「どれだけ頑張ればいいんだろう」
そんなふうに思いつめていました。
そんな不安から開放され、「ああ、そうか。今日だけ乗り切ればいいんだ」と切り替えることができました。
勾留されていた時は、その日が永遠に続くように思えました。
しかし、全ては一日一日の積み重ね。
「今日一日を大切に生きればいい。それはどこにいてもできる」と考え、楽になりました。
※
【その他】
・ゆっくり歩いても、時間が経てば、案外距離は稼げているものです。短期間で焦らない。
・人生に間違いが起こってもちゃんと元に戻れる。必ずリカバリーできる。
※※※
冤罪・・・とても恐ろしいことです。
突然、自分の持っている富・地位・能力その他もろもろを引剥がされ、不利な状況下で戦わなくてはいけません。
負ければ、さらに地獄が待っている。
数少ない手持ちの中で、どうやってピンチを乗り越えるか。
これは、経験した人でなければ分からない苦労だと思います。
我々は、事件とまでいかなくても、日々の生活・仕事の中でピンチは幾つもあります。
そういう時に限って、武器は無いんですよね。
知恵と勇気を振り絞って、工夫して戦うしかない。
ある意味、映画「ダイ・ハード」。
あの映画は、隔絶された空間で、心が折れないようにしながら、工夫して戦い、1人で大勢に挑む主人公の物語で、大好評でしたね。
限られた手持ちの中で、どう切り抜けるかを考えるには、心が折れた状態ではどうしようもないです。
精神を維持することが最優先です。
この前の記事で、「過去は変えられなくても、どう向き合うかはコントロール出来る」と書きました。
「ピンチをチャンスに変える」なんて大げさな事は言いません。
今できることを考える。
そして、今日一日だけでいいから、心が折れないようにしようと乗り切っていきましょう。
●神崎のナナメ読み: 心を穏やかにする為に、今日一日を「感謝」で振り返ってみませんか?〜過去は変えられなくても、どう向き合うかはコントロール出来ます
http://kanzaki.sub.jp/archives/003289.html
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