2018年09月03日

日本画制作日記「朱鷺(とき)」編(2)〜いかにして、朱鷺色を表現するか?

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今年2枚めの日本画が一応完成しました。
新潟県の「県の鳥」である「朱鷺(トキ)」です。


日本画だと、鶴や白鳥を描いたものは無数にあるのに、朱鷺は意外とありません。
新潟に住んでいるから、やはり朱鷺を描きたいと思いました。


前回、朱鷺の姿をマスキングで再現しました。


●日本画制作日記「朱鷺(とき)」編(1)〜マスキング塗装に初チャレンジ
http://kanzaki.sub.jp/archives/004133.html


マスキングで彩色したばかりで、まだ真っ白な鳥。
朱鷺にするには、濃いピンク色である「朱鷺色」に、羽根を彩色しなくてはいけません。


まずは、珊瑚色(ピンク色)の岩絵の具をうっすらと塗ります。
岩絵の具(いわえのぐ)とは、色のついた鉱石などを細かく砕いて作った顔料のこと。
これが日本画の絵の具です。
これをニカワと混ぜて彩色します。


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これでは、なにがなんだか良くわかりません。
もっと濃い色を使わないと。


いろいろと実験したのですが、濃いピンク色というより、「黄紅」という朱色(オレンジ)を使うと良さそうだと分かりました。


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珊瑚色で全体をほんのりピンク色にして、黄紅色で線に強弱を付けました。


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それで完成したのがこちら。


顔の部分の赤色は、本来はもっと赤いのですが、あまりにも毒々しくなるので、薄い小豆色系の岩絵の具を軽く塗りました。


目は、あえて描かず、リアルさは追求しません。


当初のマスキング時より、顔は小さく、くちばしは長く鋭くしました。
マスキングの白い部分が、はみ出たような感じのままですが、あえてそのままにしています。


羽根のグラデーションの付き方は、油絵の具や水彩画などには真似できません。
なにせ、自然の鉱石を絵の具にしたものなので、自分の意図した彩色にはならないからです。
自然のものが、自然に組み合わさって表現されたものなのです。
背景の色だって、意図的なものではなく、偶然の産物です。


1から10まで、設計図どおりに作成するなら、油絵の具や水彩画などのほうが便利です。
日本画は、意図通りにならない絵ですから。


そもそも日本画は、現実にあるものを忠実に描くためのツールではなく、頭や心の中のイメージを描くものらしい。


なかなか面白いジャンルですね。

Posted by kanzaki at 2018年09月03日 23:05