2008年04月18日

男性が「女性の品格」を読んだ感想

本との出会いと言うのは、実に面白いものです。
その出会いだけで、エッセイが書けてしまいます。

知人から勧められて読むこともあるでしょう。
本屋で偶然、発見することもあるでしょう。
他界した親の遺品整理の際、親が読んでいた本に目がとまり、ついつい読むふけるなんて事もあるかもしれません。

本は特に、その人の趣味嗜好だけではなく、人生観を映し出していると言っても過言ではありません。
その人の部屋の書棚は、その人の頭の中を見ているように思え、非常に興味があります。

歴史関連の書籍を沢山持っていると、それだけで私の中で、その人に対する好感度があがります。
時代が変わろうとも、人が生きていく上で大切な事というのは普遍的です。
そういう意味でも、自分が困難に直面した際、昔の人はどのように考えて対処したのかをひも解いてみると、解決策が見つかるものです。

私の好きな言葉(?)に、「それは歴史が証明している」というものがあります。
誰が言い出した言葉かは分りませんが、この言葉には、とても強い説得力がありますよね。
また、同じ過ちを犯さない為、相手の考えの背景を理解する為にも、歴史を学ぶことは重要です。

私は所有していた本の殆どを処分してしまったのですが、読書に対する興味が失せた訳ではありません。
むしろ、過剰になっています。

本を買うと大抵、それだけで満足してしまい、積んどくだけになってしまうんですよね。
いつでも読めるからという安心感が、かえってマイナスに働いてしまいます。

読みたい本は図書館で借りるスタイルになってからと言うものの、貸し出し期限が決まっているので、読まざるを得ない状況を作り出し、集中して読むことができます。
借りた本が面白くなかったとしても金銭的ロスはありませんから、まだダメージが少ないですしね。
図書館だと、興味のある関連した書籍は同じ場所に陳列されているから、気になったものもとりあえずまとめて借りることが出来ます。
とりあえずと思って借りた本の方が、実は面白かったなんてこともあります。
また、本を買って読むのは良いのですが、私は基本的に乱読派なので、一度読んだら不要になる事も多いのです。
そういう人の場合、「買う」よりも「借りる」方が得策だと考えるようになりました。
「図書館が私の書棚だ」と思っている訳です。

借りた本ですと、重要な部分をメモしておく必要があります。
特に実用書の類がそうですね。
私の場合ですが、必要なページをデジカメでマクロ撮影してしまいます。
スキャナも良いのですが、時間がかかり過ぎます。
そして、撮影した写真をPDFファイルとして変換、結合します。
その際、OCRソフトを使って、読み取った画像から文字を識別して文書へ変換するなんて面倒なこともしません。
とにかく分かればいいのです。
これにより、本としての物理的な形は残りませんが、ちゃんとその内容を後で確認・利用することが出来ます。

PDFファイルへ変換するソフトというのは、高いものは数万円もします。
しかし私は、無料のものを利用しています。

●クセロ 瞬簡PDF ZERO
http://xelo.jp/xelopdf/pdfzero/index.html

無償のオンライン・ソフトとして圧倒的な人気があり、私の利用目的程度ならば、十分に使えます。

以上が私の最近の読書スタイルです。

さて、ようやく本題に入ります(最近、本題に入るまでが長すぎ・・・)。

坂東眞理子さんが書いた『女性の品格』(PHP新書)を読みました。
2006年9月の発売以後話題を呼び、2007年夏には大ブームを巻き起こしました。
翌年3月までに累計300万部を超えるベストセラーとなっています。
とは言え、タイトルに「女性」と付いているので、あえて男性である私が積極的に読む理由はありませんでした。

たまたま、この本を持っていた女性が、読むことを勧めてくれました。
勧めてくれるだけではなく、その本を貸してくれました。
人様がお金を出して購入した本です。
丁寧にページを開き、尚且つ、早めに読んで返さなければいけません。
そんな訳で、借りてすぐに読み出し、1時間弱で読みきりました。
それほどボリュームのある本ではありませんし、口語体で書かれてあります。
内容も、誰もが共感しやすく、それについて自分なりの意見を持てるものでした。
日常生活の中で、どんな形で「気品」とか「品格」というものを表現するのかが書かれていました。

特に「女性だけ」を意識したものとは思いませんでした。
男性にも当てはまるものが多かったですね。
既に本を返してしまったので記憶の断片をたぐりますと・・・

・年齢が年下だったり、自分よりも身分が下の人に対しても礼を尽くし、敬う心を忘れない。
(上から目線で物事を言わず、丁寧な言葉で接する。たとえ相手が親友であっても)

・店の人がお客に対して礼を尽くすように、お客の方も横柄な態度を取らずに接する。

・格差社会と言われるが、「どうせ俺なんか・・・」みたいに、自分で自分を低く見てしまい、何事に対しても消極的な態度になる人が増えてきた。そういう、意識の格差が蔓延している。賃金の格差以上に深刻だ。

こんなところが、私の中で印象的なものでした。
書き方は違うかもしれませんが、言っていることは上記のような事です。

そして私の中の結論としては、

・日ごろ、自分が思っていることが多く書かれていて、共感できるところが多い。

・おそらく自分の親世代ならば、当たり前のように実践していること(実践方法が昭和的なものが多い)。

・神ナナでいつも書いている事じゃん。

と思いました。
まあ、それだけ日常生活に直結した事が書かれているからこそ、多くの人が買い求め、共感するのでしょう。

そして、書かれている事の多くが当たり前なのですが、そんな当たり前の事が今の時代、当たり前になっていないのも問題だと思いました。

「品格」という言葉は、何か凛としたものを感じさせ、我々には縁の遠い感じがします。
「品格」というよりも、「大人のマナー」と解釈すれば良いのではないでしょうか。
そして技法的なものには拘らず、相手を敬う丁寧な対応をすればいい。
相手が不快にならなければ、言葉遣い(丁寧語・尊敬語・謙譲語の違い等)が多少間違っていても良いと思います。
要は誠意が伝わればいいのです。

相手との立場の違いによって、使う言葉が変わるものです。
そして、時代によっても変わって来ます。
厳密な事を言うと、多くの人は使い方が間違っているものです。
以前、それについて書いたことがありますので、下記をご参照ください。

●神崎のナナメ読み: 桃太郎の歌
http://kanzaki.sub.jp/archives/000362.html

ちなみに私はどちらかと言いますとも、「品格」よりも「粋(いき)」を好みます。
「粋(いき)」とは辞書の上では、

1.洗練されていて色気があること。
2.人情に通じていること。また花柳界に精通していること。

だそうです。
何となく「品格」よりも快活で飄々としている印象を受けて好きなのです。
色艶もありますしね。

そんな粋な仕草の中で、相手を敬ったりできればいいですよね。
そういうのを具現化したものが、「江戸仕草」だと思います。
以前、それについても書いたことがありますので、下記をご参照ください。

●神崎のナナメ読み: 江戸仕草(えどしぐさ)
http://kanzaki.sub.jp/archives/001045.html

品格とか粋というのは多分、本で学ぶよりも、実際にそういったものを身につけている人と一緒に過ごし、よく観察するのが一番だと思います。
私自身、観察されるような立場になっていきたいなあと思っています。

Posted by kanzaki at 2008年04月18日 23:16