2009年12月28日

外山滋比古さんの「思考の整理学」〜東大・京大で一番読まれた本【3・とにかく書いてみる】

引き続き、外山滋比古(とやま しげひこ)さんの著書「思考の整理学」について書きます。

この「思考の整理学」の気になった章をご紹介しているのは、私自身が理解するためでもあります。
こうやって書くことによって頭の中で整理され、やがては自分の言葉で説明ができるようになるからです。
これで更に、声を出して相手へ説明出来るようになれば、相当理解できているというもの。
一年の終わりに「思考の整理学」を読んで理解を深め、来年は仕事のクオリティを高めたいと思っています。

今回は、「とにかく書いてみる」についてです。

構想を練らなければ書きだすことが出きないと思っている人もいることでしょう。
そうやって、ぐずぐずしていたり、書くことを恐れている人に対するアドバイスは一言。


「とにかく書いてごらんなさい」


頭の中であれこれ考えてみても、一向に筋道が立たないものです。
特に事前に入念な調査をしたり、沢山の材料があったりすると、ちゃんと構想をしっかりしてから書かなければと思いがち。

けれど気軽に、気負わずに書いてみればいい。
うまく書こう、褒められるように書こうなんて欲を出すと逆効果なのです。

もう書けると自分に言い聞かせて書いてみると、案外、書くことはあるものです。
そして、書いているうちに頭の中に筋道が立ち、考えが立体的になってきます。

書くことによって自分の頭の中が、いかに混乱していたかも分かります。
そうやって実践することで、筋道が出来てくるのです。

私も会社の仕事で起案書や報告書等、ある程度まとまった量の文章を書くことがあります。
会社のトップまで見ると思うと緊張してしまいます。
自分の考えを理解をしてもらうにはどうしたらいいかで悩みます。
そういう時、私は上記のように、とにかく書いてみます。
これを自分の中では、「初稿」ではなく「たたき台」と呼んでいます。
最初から上手なものなんて出来やしません。
しかも、独りよがりな考えに陥っている可能性も高い。
無茶苦茶で、順序もおかしくて構わないから「たたき台」を作ってしまいます。
こういうものを書くときは大抵、残業時間が多いです。
電話等の不意な対応に迫られることもありませんし、外野からの妨害も無いので集中できますから。
まあ集中とは言っても、夜も遅くなりますと、仕事の疲れから頭が回転なんてしません。
それでも、とりあえず書いてみます。
「たたき台」だと思って書いていますから、なんとか最後まで書くことは可能です。
最後まで書ければしめたもの。

補足ですが、「たたき台」は最後まで書くことが目的の一つです。
考えがまとまっていない部分だって、当然あります。
そういう時は、「ここの部分には、○○○○のような事を書く予定」とだけ書いて、さっさと先へ進みましょう。
変なところで突っかえていると、息切れをして最後まで書けませんから。

そうやって出来上がったものを翌日になってから見返してみます。
話しの順序や筋道が、メチャクチャになっている事が多いです。
けれど、それに気付けたのは、とにかく最後まで書いたからです。
「たたき台」があると具体性が増して、推敲をしやすいんですよね。
また、自分ひとりで考えがまとまらなくても、とりあえず「たたき台」という現物があるので、上司や関係者へ相談しやすいです。
相談を受けた方も、具体的に指示をしやすいというものです(相手だって、完璧に頭の中で考えが構築されているわけではないのですから)。

外山さんも著書の中で、書き出したら、あまり立ち止まらないで、どんどん先を急いだ方がいいと言っています。
細かい表現上のことに拘って書き損じていると、勢いが失われます。
とにかく終りまで行ってしまう。
最後まで行ってから全体を読み返してみる。
こうなればもう、訂正、修正がゆっくりできます。

推敲する際ですが、最初に書いたものに拘る必要はありません。
部分的な改修ではなく、構造的変更(真ん中の部分を冒頭や最後部へ持っていく)という大手術もアリです。
こういう大手術は手書きの原稿より、パソコン上で書き上げた時に実施しやすいですよね。
コピペをして順番を変えたりするのは容易ですし、もし失敗したら、バックアップをとっておいた元の原稿へ戻せばよいのですから。
こういう大手術も、一度は終りまで書き上げているという安心感から、ゆとりをもって工夫を凝らすことが出来ます。

最初に書いたものが、本当にどうにもならないものだったら第二稿を作るのも手です。
けれどその際には、なるべく新しい考えを多く取り入れた方が良いようです。
文字の修正にとどまらない、大胆な変更もアリです。
その大胆な変更が出来るのも、自分自身の思考の整理が進んでいるからです。
もちろん、それを書き上げた後も、推敲を忘れないように。

もう推敲の繰り返しをする余地が無くなって、はじめて定稿(完成)にします。
推敲の繰り返しをすることによって、すこしずつ思考の整理が進むのがメリットです。

書いてみる他に、聞き上手な人に考えていることを聞いてもらうのも頭の整理に役立ちます。
また、書いたものを声に出して読んでみると、考えが乱れているところは、読みつかえるのが分かります。
声も思考の整理に大変役立ちます。

以上の事は、神ナナでこうやって日々書いている私には、非常に理解出来ます。
大抵、ネタは考えるけれど、最後のオチまで考えてから書きだすことなんてありませんから。
書きながら考えて進めていく形です。
頭の中だけで考えるより、考えを文字という具現化する作業によって、考えがまとまっていきます。

ブログを趣味で書いている人は、よもや日々の書き綴りが「思考の整理」に役立つなんて考えはしません。
しかし、日常から鍛えているからこそ、仕事等の大舞台でも本領を発揮しやすいのです。
その本領発揮というものも、うじうじせずに「とにかく書いてみる」・「とにかくやってみる」という前向きな姿勢が原動力になっているのですよね。


次回へ続きます。


●外山滋比古さんの「思考の整理学」〜東大・京大で一番読まれた本【1・つんどく法】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001986.html

●外山滋比古さんの「思考の整理学」〜東大・京大で一番読まれた本【2・すてる】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001987.html

●外山滋比古さんの「思考の整理学」〜東大・京大で一番読まれた本【3・とにかく書いてみる】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001989.html

●外山滋比古さんの「思考の整理学」〜東大・京大で一番読まれた本【4・コンピューター】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001991.html

Posted by kanzaki at 2009年12月28日 21:48