2010年06月29日

「思考の整理学」の外山滋比古さん〜独創を生む「忘却」の技術

外山滋比古さんの書いた「思考の整理学」は現在、150万部のミリオンセラーになっています。


●外山滋比古さんの「思考の整理学」〜東大・京大で一番読まれた本【1・つんどく法】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001986.html

●外山滋比古さんの「思考の整理学」〜東大・京大で一番読まれた本【2・すてる】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001987.html

●外山滋比古さんの「思考の整理学」〜東大・京大で一番読まれた本【3・とにかく書いてみる】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001989.html

●外山滋比古さんの「思考の整理学」〜東大・京大で一番読まれた本【4・コンピューター】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001991.html


雑誌「PRESIDENT」にて、危機にこそ能力を発揮する本物の知恵とは何かを語っています。


・現代は、沢山の情報、知識を知っていることよりも、雑多な情報から重要なものとそうでないものをはっきり整理し、区別することが必要。

・知識は「常識」と言い換えてもいい。本とかインターネットで蓄えた知識が、自分の価値判断基準を邪魔する。何が大切かを見分けられなくなる。最大の原因は、あらゆる分野の知識を詰め込んで、忘れないことを最良とする学校教育。知識が沢山あると、新しいことを考えたり、緊急事態で重要な判断をする時、知識が雑音となって邪魔をする。

・沢山の知識を持つと、問題を機械的に処理して、自分の頭の中で考える状況が少なくなる。その為、重要な決定を下す大きな問題の時、さっぱり分からなくなる。

・松下幸之助、本田宗一郎は、知識が無かったことで大きな成功を収めた。彼らは、何事も自分の頭で判断し、失敗したら、そこから学んで乗り越えていった。成功したら、それをさらに推し進めていった。試行錯誤が出来るのは、頭に下手な知識を入れていないから。知識があると、はじめから正解が決まっているから、試行錯誤なんかしない。

・頭がよくなりたい、判断を鍛えたいと思うならば、頭をいつもハングリーな状態にしておくこと。頭の中が「満腹」では、良いと思ったことでもスッと頭に入らなくなる。

・不要な情報を整理することが大切。それには、時間による忘却が一番。今日わからないことは、10日か20日ほどいっぺん忘れる。これを昔の人は「風を入れる」と言った。忘却を進めるというのは、その人の価値観によって本能的に情報を選別すること。そして、残った知識を元に自分で頭を働かせれば、極めて独創的な、他の人が真似できない発想が可能になる。それが思考というものなのだ。

・不要なことをどんどん忘れ、それでも頭の中に残っている知識だけが、判断を助けてくれる。いろいろな新しいものを考える原動力になる。

相変わらず、この先生の考え方は変わっていませんね(良い意味で)。
現在の学校教育を思いっきり否定しています。
多くのビジネスマンは、学校で教わった知識が全く役に立っていないことを知っています。
知ってはいても、やはり子供には将来、苦労をさせたくないからと勉強をとことん仕込んではいますが・・・。

私のやっている仕事の一つに、支店のオープン、移転なんてものがありますが、あれほど過去の知識だけで話しが進まないものはありませんよ。
地域・環境が違えば、やり方を変えなくてはいけません。
しかも前例が無いことが多い。
そうすると、各々が考えたアイディアを持ち寄って話します。
話すと言っても、会議なんてしません。
他の人のデスクに立ち寄って話す感じです。
会議なんて、大義名分を作る以外、実務には殆ど役に立ちません。
実務担当者が、自分のスタイルでアイディアを持ち寄るのが一番効率的です。
そうしないと、外野ばかり五月蝿くて話が全くまとまりません。

オープン日が決まっていて、それに合わせて、各々が専門分野の立場で事を進めていく。
とても面倒くさいと思いつつ、あれほどサバイバル的で、自分の知識・アイデイア、そして足を使って任務を遂行する楽しさを味わえるものは、なかなかありませんよ。

常にサバイバルな仕事をしているので、その知識そのまんまを転職先で活用することは出来ないでしょう。
けれど、違う環境になったらなったで、またあれこれと考えぬいて、ゴールを目指すのでしょうね。

フリーの仕事も面白いのですが、会社の中にいる方が、べらぼうな予算を費やすプロジェクトを取り扱えます。
会社員をやった事のない人や学生さんは、会社員を低く見ているかもしれません。
けれど、そんな事はないんですよ。
テレビや雑誌で紹介されるような人達だけが世の中を動かしているのではありません。
あなたが知らない所で、もっとワクワクするような事をしている人達がいることを知って欲しいです。

Posted by kanzaki at 2010年06月29日 22:38