2010年09月01日

ユーモアと自己肯定〜漫画「ヘルプマン!」

「ヘルプマン!」という漫画をご存知でしょうか?

●ヘルプマン! - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97%E3%83%9E%E3%83%B3!

『ヘルプマン!』は、くさか里樹による日本の老人介護漫画作品。
2003年より講談社発行の『イブニング』にて連載中。
舛添要一 元・厚生労働大臣も薦める介護保険マンガ。
全国高等学校の教科書にも推薦される。
軽いタッチの描画で、わかりやすく、高齢社会の問題点をリアルに描く現代コミック。
一人の高校生が介護士とし、日々成長していく様子を描く。
現代の介護問題の過酷さや介護施設での問題点など、深刻なテーマを取り上げ、主人公の少年が悪戦苦闘しながらも、明るく真正面から問題に取り組んでいく。

●マンガ『ヘルプマン』の魅力とは? - [介護・福祉業界で働く]All About
http://allabout.co.jp/career/careerwelfare/closeup/CU20080224A/

●イブニング|ヘルプマン!|作品紹介|講談社コミックプラス
http://kc.kodansha.co.jp/content/top.php/1000001333


どれぐらい前でしょうか。
「少子高齢化が進み、これからは介護職が流行る! 儲かる!」
等とマスコミも我々一般人もそう思っていた時がありました。

しかし厳しい現場の実態、そして薄給という事実が明るみになるにつれ、じょじょに介護というものに目を背け、気づかないフリをする人達が増えました。

私の母も弟も介護職ですから、その実態というものを私は普通の人に比べれば知っている方だと思います。
だからと言って第三者である私が、その大変さ等をここで一つ一つ書いたところで意味がありません。

必要なのはそういう厳しい現実の中で、介護職に従事している人達は、どうやって前向きに働いているかを知ることではないかと思います。

「ヘルプマン!」の作者は、どうすれば介護を意欲的にやり続けていけるかについて、「それはユーモアや遊び心、何でも楽しんでいく工夫の大切さ」だと言っています。

「あれが出来なかった」と引き算的な思考ではなく、「これが出来た」という足し算的思考で認めていく。
また、何でも褒めていく志向性が生産的なのだそうです。
つまり「自己肯定できる力」、「自分自身の尊厳を守り育む事」とも言えます。

これは「介護をする人」、「される人」共に重要なことで、それが他者の存在を尊ぶこと、老いというもののハードルを越えていける事に通じるのです。

「ヘルプマン!」の作者は、介護現場にあふれる人の心の豊かさや素晴らしさ、介護がもたらす輝きや可能性をもっと社会全体が評価して欲しいと思っています。

ユーモアと自己肯定ですか。
これは何も介護の現場だけではなく、誰にでも当てはまることですよね。

「あなたは自分を何点だと思いますか?」と問われると、大抵は60点とか過小評価する人が殆どですよね。
勿論、欠点を素直に認める事で、互いに支え合っていけるのでしょう。
それが、人の輪というもの。
けれど、過小評価しすぎて萎縮してしまっては、本当の笑顔を作ることが出来ません。
自分の欠点だけではなく、自分の良い部分も素直に認める事が大切ではないでしょうか。
そうすれば、「自分自身いろいろあったけれど、私はやはり生きてきて良かった」と笑顔になれると思います。

どのような業界の仕事でも、給料の多さだけでは評価できるものではありません。
EDINETのサイトにて、誰でもいろんな企業の有価証券報告書等のデータを閲覧できます。
一般投資家には、株式の評価額等に注目が行くと思いますが、実際に働いている人達にはあまり関係ありません。

長年、同じ職場で働き続けると、「やりがい」や「この職場での自分の存在意義」等を考えるものです。
しかし、大抵は結論が出ないものです。
抽象的過ぎるからかもしれません。

もし自分を素直に認めることが出来なかったら、職場にいる自分の周りの人達を認めてみてはどうでしょうか。

自分で自分を評価するのは、なかなか難しい。
自己肯定をしようにも、いろんなフィルターを通してしまって、なかなか出来ないもの。
けれど他人の事ならば、多少は客観的に判断できるものです。

人を褒めようと思うと、なかなか大変ですよ。
ちゃんと相手を見なければ、褒めようにも褒められませんから。
人は褒められて、嫌な顔をする事はありません。
褒められれば、褒めてくれた人を肯定的に見てくれるものです。
そういう輪が広がれば、職場の環境は良くなっていくものです。

この前説明したメンタルデトックスにて、以下のように書きました。


・過去にとらわれ、未来を悲観する暇があれば、今できる最善の対処方法を考えたほうがいい。自分がまず考え、チーム全体に影響を与えることで全体が変わるきっかけを作る方が、はるかに生産性が上がる可能性が高い。「今」の延長上に「未来」があるのだから。
自分のコミュニケーション方法を変えて、相手や周囲を変えていく。自分が変わることでしか相手を変えられないのだから。


みんなに影響を与えるのに、褒めるという行為は最善の手段だと思います。
実際、そのような取り組みをしている会社があります。
以前にご紹介しました。


●神崎のナナメ読み: 「言葉」が人の性格を変える【2】〜ほめる覆面調査会社「C’s(シーズ)」の社長・西村貴好さん
http://kanzaki.sub.jp/archives/002011.html


そこでも書きましたが、褒めるのが難しければ、「ありがとう」を意識的に言うだけでも効果的です。
心から感謝の気持ちを持っていなくてもいいので、言いたくない相手に言いましょう。
心は後からついてきます。
それほど言葉の持つ力は強いのです。
自律神経系は人称を解さないので、相手への感謝の言葉も、発生している自分への感謝として解して自信がつきます。

他人に影響を与えられる人っていうのは、笑顔で相手に接することができる人の事なんでしょうね。

Posted by kanzaki at 2010年09月01日 23:35