2010年09月14日

新潟の地で「自殺予防」について考える【3】〜「愛」の反対は「無関心」

前回の続きです。

●前回の記事: 新潟の地で「自殺予防」について考える【2】〜働き盛りの男性の自殺要因「多重債務」を解決する方法
http://kanzaki.sub.jp/archives/002161.html

ネットの世界は、一度こうやってブログやホームページに書いた文章は、まるで川の流れのように至る所へ枝分かれして広まっていきます(検索ロボットが収集していくし、ハイパーリンクというものがあるから)。

こうやって書いた文章が何かのきっかけで、思い悩んでいる人の所へたどり着き、少しでも役に立てればと思います。

こういう心境になったのは、新潟県三条市の大洪水、中越地震、中越沖地震と、立て続けに県内で災害が起きたのがきっかけかもしれません。
私は災害が起きた翌日、翌々日には現地へ行って、復旧活動やボランティア活動をしていました。
現地の方々の方が大変なのに、私に向かって「ありがとう」と言ってくれた言葉と感謝の笑顔は忘れられません。

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※「There is the big sky in your very front.」by kanzaki

※※※


新潟県精神保護福祉センター(新潟市中央区)。
ここでは偶数月の第一木曜日に、自殺で家族、恋人、親友を亡くした人達が集まり、語り合う会『虹の会』が開かれています。


●「虹の会」
・内容)遺族がその悲しみを分かち合い、支え合うことによって、希望を取り戻し、生きてゆくことを目的とした語り合いの集いです。

・開催)偶数月 第1木曜日 午後2時から4時まで

・会場)新潟県精神保健福祉センター(新潟市中央区上所2-2-3 新潟ユニゾンプラザ ハート館1F)

・連絡先)新潟県精神保健福祉センター(TEL 025-280-0113:相談専用回線)

次回は10月7日(木) です。
パンフレットはこちら → http://www.lifelink.or.jp/hp/Library/Niji_Niigata.pdf


●上記の会他、全国の自殺対策支援センターライフリンク
http://www.lifelink.or.jp/hp/top.html


普段、なかなか表に出せない悲しみや故人の思い出、同じ体験をした人の話しを聞くことで、気持ちの安定を取り戻していこうというものです。
この会の世話人(代表)である石橋秋美さんは7年前、父親を自殺で亡くしました。

遺族たちは、周囲から偏見の目で見られることがあります。
その為、更に心の傷が深くなると言います。


●石橋秋美さんのコメント:
普段の生活では、なかなか語ることが出来ない内容です。
同じ思いをした人達が分かり合ってくれるので、「虹の会」は必要だと思います。
・・・世間の中では話せないですね。


自殺は、個人の自由な選択の一つではなく、様々な人間関係や状況の中で、心が追い詰められた結果です。
それは、誰にでも起こりうることであり、決して特別なことでありません。
そして、防げるものなのです。


●新潟大学医学部 後藤雅博教授のコメント:
「愛」の反対は「無関心」だという言葉があります。
憎しみではないんですよね。
よく、悩みに気づいて声をかけましょうと言うけれど、まず周りの人に関心を持たなければ気づきもしないですよね。
関心を持つことが最初なんじゃないでしょうか。
そして関心を持って、その人の悩みはその人個人のものですので、他の人が「これは些細だし、どうってことないんじゃないかな」と思うことも当然だと思うんですよ。
ただ、その人の置かれた状況とか、こういう風な人間関係があっても当然かなという、その人の状況への共感的な理解は可能だと思います。
その人の悩み自体に共感しようと思うと凄く大変だけど、その人の置かれている状況を理解するのは関心を持って話しを聞けば誰にでも出来る事だと思います。


相手の悩みを受け止めたとき、自分ひとりだけで解決しようと思わないこと。
医療機関や各地域の保健所、児童相談所、労働相談所等、社会のセーフティネットに繋げていくことが自殺予防における私達の大切な役目です。


●新潟大学医学部 後藤雅博教授のコメント:
セーフティネットを強化することを社会の側がやる。
それと社会に生きている私達個人の関心。
その二つが両輪ではないかと思います。


番組のナビゲーターをされた伊勢みずほさんが、こう視聴者に向かって話しかけます。


●伊勢みずほさん:
あなたの命は、この世でたった一つの尊いものです。
悩んだ時、下を向かず、少しだけ周りを眺めてみてください。
きっと支えてくれる人がいるはずです。
そして下を向きそうな人がいたら、あなたの声をそっと届けてみてください。
人の繋がりこそが、命の絆なのです。


※※※


●新潟いのちの電話(年中無休、24時間)
新 潟 025(288)4343
長 岡 0258(39)4343
上 越 025(522)4343
村 上 0254(53)4343
新発田 0254(20)4343 (H20.10.30から利用開始)


●新潟県弁護士会多重債務相談センター(平日午前10時〜午後4時)
025-222-5533

●法テラス新潟(平日午前9時〜午後5時)
050-3383-5420

●自死遺族語り合いの回「虹の会」
025-280-0133(県精神保健福祉センター)

●新潟県セーフティネット(「新潟県 ひとりじゃない」で検索)
『一人じゃない』自殺予防に関する相談支援窓口
http://www.pref.niigata.lg.jp/shougaifukushi/hitorijanai.html


※※※


以上までで、現状はお分かりになったかと思います。
やはり今の世の中、「無関心」が最大の敵なのですね。
静か故、もっとも怖い。

次回は、私の考えを書いて締めたいと思います。


●新潟の地で「自殺予防」について考える【1】〜社会全体のセーフティネット構築
http://kanzaki.sub.jp/archives/002160.html

● 新潟の地で「自殺予防」について考える【2】〜働き盛りの男性の自殺要因「多重債務」を解決する方法
http://kanzaki.sub.jp/archives/002161.html

●新潟の地で「自殺予防」について考える【3】〜「愛」の反対は「無関心」
http://kanzaki.sub.jp/archives/002162.html

●新潟の地で「自殺予防」について考える【4】〜「名ばかり管理職」の待遇改善
http://kanzaki.sub.jp/archives/002163.html

Posted by kanzaki at 2010年09月14日 21:39