2010年09月12日

新潟の地で「自殺予防」について考える【1】〜社会全体のセーフティネット構築

自殺者が減りません。
どうしたら食い止められるのか?
神ナナが少しでも役に立てればと思い、書きたいと思います。

まずは3回に渡って、先日放送されていた番組を元に、現状・実態を説明します。
そして最後の回にて、私なりの考えを書きたいと思います。

jisatu01.JPG
※「1:1=Lovers」 photo by kanzaki

※※※


先日、地元テレビ局制作の自殺予防番組を見ました。


●新潟県 心のセーフティーネット「一人じゃない」
http://www.ohbsn.com/event/hitorijanai/

番組のナビゲーターは伊勢みずほさんです。
伊勢さんについては、下記をご参照ください。

●新潟のフリーアナウンサー伊勢みずほさんの「上古町版・まちかど行ってみずほ」に参加しました【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002139.html

以下、その番組内で語られた事を元に再構築してみます。

日本の自殺者数は年間約3万人。
新潟県では毎年、交通事故死亡者の4倍にあたる700人以上が、自ら命を断っています。
自殺率は全国6番目の高さでして、全国平均を大きく上回っています。

自殺に関する国の調査結果があります。


●質問「自殺を考えたとき、誰かに相談したか?」

●回答:
相談しない 60.4%
相談した  32.7%

●相談した人の内、誰に相談したか?
友人 17.6%
同居の家族 13.9%
医師 4.9%
職場関係 3.2%


相談をした事が無い人が、相談した人の倍にあたる6割にものぼります。

自殺を考えている人を食い止めるにはどうしたら良いのか?
テレビスタッフは、長年、自殺問題に取り組んでいる新潟大学医学部の後藤雅博教授を訪ねました。
後藤教授は、自殺対策に必要なのは「社会全体のセーフティネットの構築」だと唱えています。


●後藤教授の話し:
自殺未遂から生還された人の話しを聞くと、ちょっとしたきっかけが助けになったそうです。
相談機関の看板とか電話番号とか、ちょっとした人との出会いとか。
「私が助けなくちゃ」と思うと凄く辛いので、私達以外に大勢の助ける人達がいて、その人達への入り口とか窓口になるんだと。


つまり私達ひとりひとりも、自殺を防ぐセーフティネットの一員になるという事です。
社会のセーフティネットとは、行政をはじめ、医療、福祉、就労、保険、司法といった様々な連携から構築されるものです。
お互いに情報を交換し合い、より良い対処法を模索します。
しかしそうした窓口は、悩んだ本人が連絡しなければ機能しません。
また、そういう機関の存在を知っているとも限りません。
両者をつなぐ存在が、私達なのです。


●後藤教授の話し:
自殺する人は色んな状況に追い詰められている。
追い込まれた状況にある。
例えば、うつ病のような病気で、もうそれしかないと思い込んでしまうとか、あるいは様々な社会状況、対人関係の中でそれ一つしかないと思い込んでしまう。
ただ、どこかで「何とかしてくれないかなあ」「自殺したくないな」という気持ちは必ずある。


自殺へと心が追い詰められる前に、引き止めるきっかけとなる声をかけることが、大切なのです。


●あなたの心は健康ですか?
※自分自身の心の健康について調べてみましょう。
以下、この一ヶ月の間で思い当たるものにチェックしてみてください。

1.家庭内でいろいろな問題があった
2.仕事において、多くの変化があった
3.日頃から、楽しみにしている趣味などがない
4.いつも実施している運動などがない
5.気分が沈みがちで、憂鬱である
6.些細なことに腹が立ち、イライラする
7.仕事のやる気が無くなり、疲れやすい
8.人と会うのがおっくうで、何でも面倒くさい
9.前日の疲れがとれず、朝方から体がだるい
10.寝付きが悪く、頭重感がある
11.朝、気持よく起きられず、気分が悪い
12.頭がすっきりしなく、頭重感がある
13.肩こりや背中と腹が痛くなることがある
14.食欲がなくなり、次第に体重が減ってきた
15.腹が張り、下痢や便秘を交互に繰り返す
16.目が疲れたり、めまいや立ちくらみがある
17.急に息苦しくなったり、胸が痛くなる
18.手足が冷たく感じたり、汗をかきやすい
19.よく風邪をひくが、治りにくく長引く
20.医者の診察を受けても、気のせいだと言われた

みなさんは幾つ、当てはまりましたか?

●チェックした項目の数
・5以下・・・正常範囲
・6〜10・・・ストレス予備状態
・11〜15・・・ストレス状態(要注意)
・16〜20・・・ストレス病(要医療)

6個以上の人は少し心を休めてください。
ちなみに私は10個でした。
自分で思っていたより少なかったものの、あと一つで要注意のレベルです。


では次にあなたの周りの人について考えてみましょう。
悩みながらも、何かしらのサインを出していると言われています。
あなたの周りで欝になっている人はいませんか?

厚生労働省の資料に「自殺のサイン(自殺予防の十箇条)」というものがあります。


●自殺のサイン(自殺予防の十箇条)
1.うつ病の症状に気をつけよう(気分が沈む、自分を責める、仕事の効率が落ちる、決断ができない、不眠が続く)
2.原因不明の身体の不調が続く
3.酒量が増す
4.安全や健康が保てない
5.仕事の負担が急に増える、大きな失敗をする、職を失う
6.職場や家庭でサポートが得られない
7.本人にとって価値のあるもの(職、地位、家族、財産)を失う
8.重症の身体の病気にかかる
9.自殺を口にする
10.自殺未遂におよぶ


あなたの周りで欝になっている人はいませんか?
仕事や家庭など、大切な物を失った人はいませんか?
これらのサインが多く認められる場合は、自殺の危険が迫っています。
しかし本人は、その悩みを誰にも言えないでいるかもしれません。
そういった人の悩みに気づいてあげるのは難しいことなのでしょうか?


●後藤教授の話し:
関心を持つことは出来ると思うんです。
「自分で助けてあげよう」ではなく、「どういう状況なのかな?」とまず関心を持つことがよいと思います。


関心をもつことで生まれる「人と人とのつながり」が今、求められています。
今回は、ここまでです。

次回は、実際の相談機関の様子、そして働き盛りの男性の自殺について考えてみたいと思います。


※※※


●新潟の地で「自殺予防」について考える【1】〜社会全体のセーフティネット構築
http://kanzaki.sub.jp/archives/002160.html

● 新潟の地で「自殺予防」について考える【2】〜働き盛りの男性の自殺要因「多重債務」を解決する方法
http://kanzaki.sub.jp/archives/002161.html

●新潟の地で「自殺予防」について考える【3】〜「愛」の反対は「無関心」
http://kanzaki.sub.jp/archives/002162.html

●新潟の地で「自殺予防」について考える【4】〜「名ばかり管理職」の待遇改善
http://kanzaki.sub.jp/archives/002163.html

Posted by kanzaki at 2010年09月12日 22:30