2011年01月18日

「老い」や「死」を考えた際、エンディングノートの執筆と身辺整理をしませんか?

ドラマや小説には必ずエンディングがあるように、現実世界を生きる我々にもエンディングがあります。
死の間際になって、自分の伝えたいことを全て伝えるのは不可能です。

その為、最近話題になっているのが「エンディングノート」です。
エンディングノートとは、自分に万が一の事が起こった時のため、伝えたい様々な内容をまとめてノート形式で記入しておく冊子のことです。
以前、神ナナでもご紹介しました。


●エンディング・ノート(エンディングノート)とは〜大阪府豊中市が「老いじたく〜ほっと覚書〜」という冊子を作成
http://kanzaki.sub.jp/archives/001818.html

エンディングノートには、例えば以下のような事を書きます。

・緊急連絡先
・家族との思い出
・自分自身の記録(好きだった先生や友達、印象に残る出来事、これからどんな風に過ごしたいか等)
・病名の告知、延命治療の可否
・介護場所(自宅か施設か等)
・介護費用(預貯金や年金の範囲内か、財産を処分しても工面するか等)
・訃報を知らせて欲しい人
・葬儀をする場所や規模の希望
・献体の希望
・預貯金や保険のリスト
・家族や友人、知人らへのメッセージ


誰もが避けることが出来ない「老い」と「死」。
老後に安らぎよりも不安を感じる世の中ですので、こういった準備をしたいと思うのも当然の流れでしょう。

そんなニーズを察知した各会社が、エンディングノートを次々と発売しました。
コクヨからも発売されていますよ。


●コクヨ|プレスリリース|「エンディングノート<もしもの時に役立つノート>」を発売(2010/08/19)
http://www.kokuyo.co.jp/press/2010/08/1068.html

この度発売する「エンディングノート<もしもの時に役立つノート>」は、「もしもの時」は勿論、日常生活でも備忘録として役立つノートです。記入項目は、銀行口座や口座引落し、クレジットカード、保険、重要連絡先、WebサイトIDなど身近なことから、介護、葬儀、お墓、相続までと幅広く、漫画やイラストによる説明を加え、記入しやすさに配慮し、年齢を問わず若い人でも気軽に情報整理を始められるようにしています。


以前に私が書きましたとおり、このエンディングノートは、何も高齢者だけのモノではありません。
エンディングノートは、自分の死後の事を書くというスタンスだけではなく、「自分の人生の棚卸し」と捉えても良いのかもしれません。
自分の生きてきた略歴、財産その他を完璧に把握している人なんていませんから。
自分が今後、どのように生きていくかを考える為、エンディングノートを通し、過去の自分の生き方を振り返ってみるのも良い事でしょう。

脳の中にある情報を「見える化」する事によって、「何をやらなければいけないのか」「優先順位はどうするか」を整理できます。
そうすると、自分がこれからやるべき事をスケジュールを立てて実施することが出来ます。

それは、ビジネスマンならばご存知の「GTD(Getting Things Done)」という個人用のワークフローの管理手法そのものですよね。


●Getting Things Done - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/Getting_Things_Done

GTDは次の5つのステップで構成され、これを1週間など一区切りごとに繰り返す。
1.収集:頭の中にある「気になっていること(問題)」を紙などに書き出す。作業中のメモ書きなども参照して、問題点を出して行く。
2.処理:書き出した内容を、手順に添って、リスト化する。
3.整理:リストを自身がスケジュール管理に使っているツール(PDAやシステム手帳など)に入れ込む。
4.見直し:自分の状況や状態でそれらが可能かどうか見直し、検討する。
5.実行:リストアップした「出来ること」を順次片付ける。


これはビジネスの世界だけではなく、プライベートの行動にも利用できます。
「エンディングノート」と言うとネガティブに感じるのならば、「GTD手帳」と思えば良いと思います。

※※※

どの人にも言えますが、特に高齢者にとっては上記のエンディングノートによるデータ記述のほかに、「身辺整理(モノ減らし)」が重要になります。
これをネガティブな方に考えてはいけません。
モノを減らす事で、高齢期を快適に過ごすという事なのです。

「NIKKEIプラス1」に「ものを減らし、高齢期を快適に」という特集が組まれていました。

現在の高齢者が、モノを捨てるというのは大変難しいそうです。
理由は、貧しい時代を経験し、モノを持つことが喜びだった世代だからです。
しかし整理は必要です。
長く生活を共にしてきたものと別れるのは、じょじょに縮小していく人生の流れに沿った当然の行いだからです。
「捨てる」のではなく、「必要なものを残すために区別する」という心構えで臨めば、所有物の整理も進めていけると思います。

掲載されていた内容をまとめますと、以下のようになります。


●上手にモノを整理するコツ

(1)心の準備
・整理するメリットと、しなかった時のデメリットを考える。
(メリット:掃除が楽になる。探し物が見つかりやすくなる、デメリット:バリアフリーに改修しても、モノが邪魔だし、つまずきやすい。年をとって転居する場合、もっと整理が大変になる)

・モノが減った時の生活を具体的にイメージして、片付けたいモノ、場所を紙に書きとめておく。


(2)取捨選択の基準を作る
・最後に使ったのはいつかを考え、思い出せなかったら処分。今後、それを使うシーンがイメージできなければ、それも処分対象。

・10年使っていなかったものは処分する等、期間を区切る方法がある。

・これは何で、なぜ取っておくのか、いつ使うのか、どこで使うのか、誰が使うのか、今の価値などを考えてみる。

・捨てるのに困ったら「保留箱」へ放り込み、一年間経っても使わなければ、処分しても後悔しない。


(3)根気強く進めるためには
・いつまでに終わらせるという目標設定をする。設定の際、3か月〜1年間の長いスパンにすること(何十年もかけて溜めてきたものが、数日で片付くわけがない)。

・1日の作業は15分程度にして、少しずつ行う。

・疲れたら休む。

・「捨てる」ではなく、「必要なものを残すために区別する」という意識で臨む。


(4)写真や、どうしても取っておきたいものは
・写真は人生のハイライトを作るつもりで、イベントごとにベストショットを選択する。

・記念品や頂き物も、使っていないのであれば処分を視野に入れる。

・不要だが置いておきたい「例外扱い」は収納スペースを決めて厳守する。


(5)トラブルを避けるためには
・自分のモノは自分で判断する。いくら身内でも勝手に処分しない。

・「残しておけば誰かが引き取ってくれる(誰かに喜んでもらえる)」という考えは排除した方がいい。


以上です。
年配ではなくても、転勤がある会社に勤めている人の場合、素早く引越し作業をする為にも必要な事ですよね。

私は普通の人に比べるとモノの所有点数は少ない方です。
定期的に「捨て魔」に変身するからです。
最終的には、トランク一つか二つにまで減らしたいものです。
良い見本は、俳優のサム・ワーシントンです。

●3D映画「アバター」の主人公を演じたサム・ワーシントンは、今もスーツケース2つだけの生活
http://kanzaki.sub.jp/archives/002219.html

映画「アバター」によって世界興行成績第一位のスターになったのに、なんと彼はスーツケース2つだけのシンプル生活を行っているのです。
それによって大成功を手にするスタートを切れ、今も初心を忘れない為に続けています。

「ムーミン」に登場する「スナフキン」も私には憧れのキャラクターです。
彼の言葉を聞くと、モノに対する執着が消えていきます。

そうだな。
なんでも自分のものにして、 
もって帰ろうとすると、むずかしいものなんだよ。
ぼくは、見るだけにしてるんだ。
そして、たちさるときには、それを頭の中へしまっておくのさ。
ぼくはそれで、かばんを持ち歩くよりも、ずっと楽しいね。


それはいいテントだが、人間は、ものに執着せぬようにしなきゃな。
すててしまえよ。
小さなパンケーキ焼きの道具も。
ぼくたちには、用のなくなった道具だもの。

Posted by kanzaki at 2011年01月18日 22:39