2014年02月22日

偶有性とは?〜戦国時代の物語を現代人が好む理由


(▶ 戦国武将がよく来るキャバクラ 〜黒田官兵衛〜 - YouTube)


日本人は、戦国時代の物語が好きですよね。
豊臣秀吉、織田信長、徳川家康、武田信玄、上杉謙信・・・そして今ならば、豊臣秀吉の側近である黒田官兵衛が活躍した時代です。


人間の脳の働きという視点から見ると、戦国時代の物語が興味深いのは、現代の日本人の脳の使い方と異なる可能性が示されている点にあります。
そう語るのは、脳科学者・茂木健一郎さんです。



【偶有性とは?】


現代の日本人は、とらえどころのない宙ぶらりんな状態が苦手です。
偏差値入試のように数値による評価基準にこだわり、新卒一括採用のように横並び意識が強いです。


生きていく中で、何が起こるか分からないことを「偶有性」といいます。


●偶有性(ぐうゆうせい)

事物の本質的でない性質。
その性質の有無が、事物の何であるかに影響しないような性質。
例えば、人間にとっての「色白である」という性質。付帯性。


●茂木健一郎 クオリア日記: 必然化する偶有性
http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/2010/07/post-c775.html


現代の日本人は、偶有性が苦手です。
ところが、戦国時代を見ると、私たちの祖先は、偶有性の中にこそ生きていたのです。



【何が起こるかわからない時代の脳】


黒田官兵衛が重要な役割を果たしたエピソードに、「中国大返し」があります。


●中国大返し - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E5%A4%A7%E8%BF%94%E3%81%97


明智光秀によって、織田信長が討たれるという「本能寺の変」を察知した豊臣秀吉。
対峙していた毛利氏側との講和をまとめ、現在の岡山県岡山市にあった備中高松城から、現在の京都府大山崎町まで、約200キロの行程を当時としては驚異的な速さである約10日間で引き返しました。


●関連記事: 豊臣秀吉の足軽たちの物凄い足の速さの秘密は「走りメシ」
http://kanzaki.sub.jp/archives/003057.html


織田信長の急死という、天下の情勢を変える事態に対して、豊臣秀吉が迅速に行動できたのは、当時としてはそれが「当たり前」だったからです。


何が起こるかわからない、一寸先は闇の時代。
応仁の乱以降、すべてが流動的でかりそめの戦国時代は、現代の日本人の脳の使われ方と全く異なっていました。


最近の若い人たちは、安定志向です。
公務員や、大手の正社員になりたい。
お揃いのリクルートスーツで会社訪問をする様は、現代の日本人の心象をあらわしています。


戦国時代は、日々、前提が覆され、組織や肩書が変動し、命さえも危ない状況です。
そんな中ではじめて発揮される人間の底力というものがあります。


戦国の物語がいまだに人気なのは、日本人の心のなかに「偶有性の海」で泳ぐことに対するあこがれがあるのかもしれませんね。


※※※


転職市場で求められる人物というのは、新規事業開拓などのリーダーができる人です。


つまり、前例のない仕事をこなすため、みんなをまとめていける人物です。
言われたことだけをこなす人物は必要ありません。


自分自身がそういう立場なので思うのですが、正直そういう状況の中で働くのは「怖い」です。
だって、目標と期限は決まっているけれど、その道中は未知なのですから。
自分一人では出来ませんから、いろんな方の知恵と力を借りることになります。
的確な指示が出来ているのかなんて、その時点では分かりません。


ハプニングはつきものですし、順調に進むことはありません。
急な事態に対し、わずかな時間の中で判断して軌道修正。
はたして、それが正しい判断なのかは、その時点では分かりません。


あまりにも流動的な中で仕事をするのは、本当に怖いです。
残念ながら、そういう状況を楽しめるほどの余裕は、私にはありません。


怖いけれど、応用力はつきました。
これは財産かもしれません。



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●豊臣秀吉の足軽たちの物凄い足の速さの秘密は「走りメシ」
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●豊臣秀吉の性格の明るさは、セロトニン(幸せホルモン)にありました
http://kanzaki.sub.jp/archives/002485.html

●豊臣秀吉が一夜城を築くことが出来た理由
http://kanzaki.sub.jp/archives/001960.html

●織田信長の勝負飯とは?〜「桶狭間の戦い」の勝因は「湯漬け飯」「焼き味噌」かも
http://kanzaki.sub.jp/archives/001960.html

Posted by kanzaki at 2014年02月22日 23:39