2015年01月19日

「源氏物語」の後半は、誰が書いたのか?〜統計分析で謎に迫る

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三谷幸喜脚本。
舞台は、ホテルのバー。
女流新人文学賞選考会の前日。
注目の若手作家・紫式部(長澤まさみさん)、ベテランのエッセイスト・清少納言(斉藤由貴さん)。
選考委員の二人が、グラスを傾けながらプライドをぶつけあう舞台。

●紫式部ダイアリー
http://www.parco-play.com/web/play/murasaki/



古典文学「源氏物語」は、紫式部が書いたと教わりました。


全54巻のうち後半10巻を「宇治十帖(うじじゅうじょう)」と呼びます。
これは、作者が別ではないかという議論が長く続いています。


同志社大学の村上征勝教授が、「統計分析」という手法で真相に迫りました。
その結果、宇治十帖は、それまでとは異なる文体だと判明しました。
ただし、別人が書いたかまでは不明です。


(日経より)



源氏物語は、筆者の記載がなく、原本も残っていません。
これまでの文献調査から、紫式部が作者だと考えられています。
ところが宇治十帖に関しては、「文体が違う」などと別人説があります。


文学的な違和感を数値的な指標で評価してみよう!


村上教授は、統計数理研究所に勤務していました。
国文学に詳しい九州大学の今西祐一郎名誉教授らと、この問題に取り組みました。


源氏物語の総単語数は約38万語。
名刺や動詞・形容詞などの「自立語」、助詞と助動詞の「付属語」に分けます。
それを踏まえ、全てをデータベース化しました。


最も使用頻度の高い名詞は「こと」でした。
4497回使われています。
100語に1回の割り合いで使用されています。


言葉の使用率が違えば、文体にも違いがあらわれるというもの。
村上教授は、宇治十帖の10巻と、それ以前の44巻で、主要な7つの品詞の使われ方を統計学的に分析しました。


その結果、1人で54巻書いた場合に比べ、宇治十帖の主要な品詞の使い方に、違いがみられました。
宇治十帖では、名刺の「こと」や助動詞の使い方が増えていたのです。


ただし、別の作者がいたかどうかは結果が出せないそうです。
別人だと判断できるほどの明確な違いがないからです。
また、紫式部の文体がなんらかの原因で変化した可能性もあります。


瀬戸内寂聴さんは、源氏物語の現代語訳を出版しました。
寂聴さんは、出家した影響という説を唱えています。


紫式部の娘、大弐三位(だいにのさんみ)が宇治十帖の作者という説もあります。
しかし、はっきりした文献もなく、統計分析による検証ができません。


各巻の成立年代、写本の加筆具合なども疑問が残ります。


いつか真相が解き明かされる日もくることでしょう。


※※※


ラノベだったら、タイムスリップした現代人が、死んだ紫式部になりすまし、書き上げるというオチでしょう。


誰にでも書きグセはありますよね。
私の文章の特徴は、「最初に結論を書く」「句読点が多い」「改行が多い」「基本的に、一つの文章で伝えたいことは、一つしか書かない」などがあげられます。
これは意識的に行っています。


紙に書かれた文章と違って、ディスプレイに表示された文字を読むのは辛いです。
なるべく読みやすくする為です。


仕事柄、文章を書くことが多いです。
多くの人に、正確に伝えるには、それなりに意識が必要です。
そう考えるようになったのは、池上彰さんの影響が大きいです。


●分かりやすい説明をするための構成方法【1】〜池上彰さん著書「わかりやすく<伝える>技術
http://kanzaki.sub.jp/archives/002354.html


●分かりやすい説明をするための構成方法【2】〜池上彰さん著書「わかりやすく<伝える>技術
http://kanzaki.sub.jp/archives/002355.html


意識するが故に、時期によって文体も変わってきます。
私ですらそうなのですから、紫式部だって、文体に変化があってもおかしくないと思います。
別人説の方が、面白いですけれどね。

Posted by kanzaki at 2015年01月19日 22:41