前回の続きです(今回で最後)。
●前回の記事: 「はじめて講師を頼まれたら読む本(大谷由里子さん)」の感想・まとめ・レビュー【3】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002488.html
●Amazon.co.jp: はじめて講師を頼まれたら読む本: 大谷 由里子: 本
http://amazon.jp/dp/4806134635/
・大谷由里子 公式サイト | ケセラセラ
http://www.yuriko-otani.com/
※
【(2)実践編〜講師になったら知っておきたいスキル・テクニック】
本書の核となる部分です。
ここは全部で7つに分けて書かれています。
・準備
(1)台本を作る
(2)メリハリをつける
(3)ブラッシュアップする
(4)前日までの準備
・本番
(5)当日、本番前にすること
(6)本番中のテクニック
(7)アクシデントに対処する
今回は最後の(5)〜(7)を一気に説明します。
※
【(5)当日、本番前にすること】
●あがるのは、当たり前のこと
大谷さんでもあがります。
だから事前準備をするし、早めに会場入りするのです。
あがらないようにするには、「自信」が必要。
「自信」という字は、「自分を信じる」と書きます。
自分が学んだ量、自分が経験した量以上には、自分を信じることなんて出来ません。
だから、自分に自信をつけて、あがらないようにするために調べたり、努力するのです。
まるで、ジョギング、マラソンと同じなんですねえ。
※
●プロジェクターに頼り過ぎない
プロジェクターのトラブルは多いもの。
本番でパワーポイントが動かなかったり、スクリーンに映らないことも。
ホワイトボードのペンのインク切れもそうですが、些細な手違いでも、聞き手のモチベーションは下がります。
ですから、事前チェックは大切です。
プロジェクターに頼らないのも、講師の価値の一つです。
プロジェクターを使うと、聞き手が講師の顔を見なくなります。
最悪、講師の印象が聞き手に残ってないこともあります。
プロジェクターに映すパワーポイントのデータそのものをレジュメとして配ると、下を向いてレジュメばかり見ている人も出てきます。
配布資料がパワポと同じならば、後で配る方がいい。
講師も、スクリーンばかり見て、聞き手を見ないケースもあります。
講師の独りよがりとなります。
講演は、あなたの独演会ではありません。
聞き手のほうを見て話すことを怠ってはいけません。
※
【(6)本番中のテクニック】
●楽しく話せば、楽しく聞いてもらえる
講師が楽しそうに話すと、参加者も楽しい講演だと思ってくれます。
「楽しく」とは、冗談交じりという意味ではありません。
楽しみながら、いつの間にか気付いてもらう事が大切なのです。
楽しい雰囲気を作ることは、聞き手の心をほぐすためにとても重要です。
※
●ツカミの3分で笑わせる
笑いがある研修の方が、効果が上がります。
相手の心が開いた状態じゃないと、いくら良いことでも伝わりにくいものです。
笑わせるテクニックはいくつかあります。
例えば、「イエーイ」とみんなに声を出してもらい、隣の席の人と手と手でハイタッチしてもらいます。
殆どの人が、自然と笑顔になります。
自分の笑える失敗談でもいい。
「今日の講師はいつもと違って、楽しそう」
そう感じてもらうことが大切なのです。
※
●「うなずきくん」を見つける
どこを見て話していいか分からない・・・そんな事ってありますよね。
どこの講演でも、ちゃんと聞こうとしてくれる人はいるものです。
目を輝かせて聞く姿勢の人、こちらの話しに一つ一つ頷いてくれる人。
演台に立ち、こちらの話しに頷いてくれる人を探します。
できれば5〜6人探します。
しかも、前方と後方と真ん中くらいの席に見つけられるとベスト。
その人たちをまんべんなく見つめて話してください。
聞いている人たちは、いろんな人を見て話しをしてくれているように感じます。
特定の方だけ見て話すと、他の人たちに疎外感が生まれます。
もし、なかなか見つけられないのならば、あらかじめ友人やスタッフに頼んで、うなずきくんになってもらってください。
話すのが楽になります。
※
【(7)アクシデントに対処する】
●早めの行動があなたを救う
売れているタレント、人気講師は、早めの行動をしています。
現地入りも早いのです。
余裕を持った時間管理は、不測の事態が起きてもリカバリーがききます。
講演に穴を開けないのは、何より重要です。
※
●時間通りに終わるコツ
前の人のあいさつ等のしわ寄せで、後の講演時間が短くなることがあります。
そんな時でも、時間調整が出来るようにするコツがあります。
2回目の記事に書いたとおり、5分程度の「シメの話し」をしっかり作っておくことです。
できれば、「最後のシメの話しを導くための5分の話し」を用意しておくと、更に余裕が出ます。
その合計10分間で、「余韻」が生まれ、講演が尻切れトンボにならなくて済みます。
※※※
【神崎の感想】
以上が本書のまとめです。
とても参考になるテクニックと考え方でした。
今回の書籍は、講演という大舞台ではなくても、日常の会議にも有用な内容だと思いました。
そういうところから実践していきたいと思います。
私は仕事柄、講演を聞く機会に恵まれています。
たまに、「こういう講演は苦手だなあ」と思うことがあります。
●苦手な講演
(1)終盤、急いで話す人
講演の終盤、時間が足りなくなり、
「時間も差し迫ってきたので、この部分は簡単に説明して、どんどん飛ばしていきます」
と言う人は苦手です。
それならば、必要な部分だけを丁寧に話し、適当な部分は全く見せないで欲しいです。
そして、自然と「シメの話し」へ導いて終わってもらいたいです。
全部なんてやる必要ないのにね。
適当に話したところは、聞いている方も印象に残りません。
残るのは、講師のスキルが低いという印象だけです。
パワーポイントでガチガチに資料を作成し、それをプロジェクターに映して話す人に多いですね。
アドリブがきかない講師だと思ってしまいます。
※
(2)パワーポイントに頼りすぎな人
結構、沢山いますよねえ。
パワポで作成したものをプロジェクターで映す事が、素晴らしい講演であると勘違いしています。
プロジェクターで映し出したパワポデータより、ホワイトボードにペンで書きながら説明してくれる方が、よっぽど聞く姿勢になります。
本当の講演って、そういうものだと思います。
ヘタクソなパワポの資料は、一ページにデータを詰め込みすぎたものです。
映し出された瞬間、どこに注目すればいいのか分かりません。
ホワイトボードに書きながらだと、どこに集中すればいいのか分かりやすいです。
パワポの資料を元に話されても、講演は面白くありません。
貴重な時間をつぶして、わざわざ会場へ行く意味がありません。
パワポで作成した資料を郵送なり、メールで送ってもらえれば結構です。
講演とは別に、仕事柄、各社の皆さんが私相手にプレゼンテーションしてくださいます。
殆どの人が、パワポを使った資料を元に説明します。
私の顔を見ません。
視線は、パワポで作った資料です。
こういう方に限って、ちょっと質問をすると答えられない人が多いです。
予定調和で進めないと、仕事が出来ないからです。
それほど難しい質問をした訳でもないのに、「後日、メールで返答します」と言われると、正直萎えます。
実は私、プレゼンテーションがある当日までに、相手が提案してくる内容を調べておいてあります。
ネットや同業他社から、事前に情報を入手してあります。
だから、質問したい事が山ほどあります。
けれど、プレゼンしに来た人は、プレゼン以上の事を知りません。
※
(1)(2)に共通するのは、「機械に頼りすぎている」という事。
講演って本当は、口とマイクがあれば出来るものなのにね。
人・話術に魅力が無いと、面白くないし、話しも記憶に残りません。
もし私が講演する立場になったら、あえてパワポを使わないで実施したいです。
ホワイトボードとペン、マイクのみで勝負。
そして、聞いている人たちとコミュニケーションを取りながら、楽しい内容にしたいです。
スマートじゃない。
だどたどしくダサくてもいい。
けれどちゃんと、自分のメッセージが伝わって欲しい。
そして、みんなが実践できるテクニックを一つでも持って帰って欲しいものです。
※※※
●連載記事(合計4回)
・「はじめて講師を頼まれたら読む本(大谷由里子さん)」の感想・まとめ・レビュー【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002486.html
・「はじめて講師を頼まれたら読む本(大谷由里子さん)」の感想・まとめ・レビュー【2】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002487.html
・「はじめて講師を頼まれたら読む本(大谷由里子さん)」の感想・まとめ・レビュー【3】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002488.html
・「はじめて講師を頼まれたら読む本(大谷由里子さん)」の感想・まとめ・レビュー【4】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002489.html
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