2012年05月04日

安藤美冬さん in 情熱大陸〜フリーランス、ノマドワーカーとして自分らしく歩む生き方【2】

前回の続きです。

●前回の記事: 安藤美冬さん in 情熱大陸〜フリーランス、ノマドワーカーとして自分らしく歩む生き方【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002637.html

●安藤美冬オフィシャルウェブサイト
http://andomifuyu.com/

Twitter|http://twitter.com/andomifuyu
Blog|http://ameblo.jp/andomifuyu/

●プロフィール
(株)spree代表、「自分をつくる学校」学長。
1980年生まれ、東京育ち。
慶応義塾大学卒業後、(株)集英社にて広告宣伝業務を積む。
2011年1月に独立し、(株)spree代表となる。
ソーシャルメディアでの発信とセルフブランディングを駆使し、一切の営業活動をすることなく、複数の肩書で複数の仕事をする独自のノマドワークスタイルが注目を浴びる。
MBS-TBS系列『情熱大陸』、朝日新聞などのメディアで多数取り上げられる。
日本初のセルフブランディングをテーマにした「自分をつくる学校」学長を手がけるほか、書籍やイベントの企画•プロデュース、野村不動産、リクルート、東京ガスなど企業が参画する「ポスト団塊ジュニアプロジェクト」のアドバイザーも務め、企業や分野を超えて活動中。

【同世代で新しいプロジェクト】

ポスト団塊ジュニア(1976〜1985年に生まれた世代。現在26〜36歳)。
彼らが中心となり、どのようなサービスや商品を送り出すべきかを考える。
そんなプロジェクトのオブザーバー(会議などで、発言権はあるが議決権のない人。また、発言権・議決権ともにない傍聴者)として招かれました。

●PDJ-Lab ポスト団塊ジュニア プロジェクト(PDJラボ)
http://www.pdj-lab.jp/
(次のUSTREAM LIVEは、5/16・20:30〜)

野村不動産、リクルート、東京ガスなどが集まって、これからの住まいや暮らしについて話し合いをしています。
プロジェクトは2年がかり。
まだまだ、手探り状態です。
専門家でない安藤さんは、同世代の自由で率直な発想が求められています。

会議中の安藤
「最終的に、どんなところに落とし所を持っていくかが、一番気になるところですね」

取材班は、メンバーである野村不動産の開発部の人に聞きました。

取材班
「賭けじゃないですか? よくわからない人に依頼するのは」

野村不動産
「もの凄い賭けだと思いますね。
今、私のいる会社は、新築の分譲マンションをメーンでやっているんです。
彼女に最初に会った時、"私は、家は買わない人だから"とはっきり言ってくださるので、そこで、この人いいなと思いました」

後日、ミーティングの模様をUSTREAM(インターネットを使った生放送テレビみたいなもの)で公開しました。
交わされる意見を視聴者と共有するのが狙いでした。

テーマは「新しいライフスタイルの提案」。
テーマが漠然としており、安藤さんは不安でした。
放送は1時間で終了。
放送中、安藤さんの出す提案に、リアクションが返ってくることはありませんでした。

安藤
「こんな感じでいいの? 微妙じゃないですか?」

抽象的な議論に、人は振り向いてくれません。
誰もがイメージ出来るような具体的な提案をしなければ。

安藤(終了後、反省会での言葉)
「何をしたいのか、もっとはっきり出してくれないと、全部だだ漏れの放談で・・・。
まず目的が何なのさっていうところ?
こういっちゃあ超失礼かもしれないんですけれど、何か分からないけど、何か集まってやっていくというのは、超会社員的発想だと思ってて・・・。
普通はやっぱり目的をきちっと決めて、何にアウトプットするか決めて、そこで話をするのが、一応、話でお金を稼いでいるプロとしての役割だと思うし・・・。
このままだと毎回、ちょっと名が知られた人を呼んで、見世物っぽくやっちゃうのは最低だと思うんですよ。
少なくとも、そういうものに絶対出たくは無いし、使われたくないっていう気持ちもあるし。
こんなにいろんな専門家とか、私もオブザーバーとして出てても"どうなのさ?"みたいな。
もうスタートしちゃったわけだから、これ結構重いと思うんですよ」

安藤さんは、オブザーバー。
でも、口にしたことには責任を持ちたい。

安藤(取材者に対して)
「関わっている人間の一人として、それはあなたの仕事でしょって言うつもりは全然なくて、もう超真剣ですよ。それは勿論。
ここで帰ることも出来るんだけど・・・それはしたくないです。
もったいないと思うんですよ」

【フリーランスのきっかけは岡本太郎先生】

会社員時代、信じた道を歩めと安藤さんを駆り立てたのは、一冊の本でした。

●「自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか」(岡本太郎・著)
http://amazon.jp/dp/4413090101

okamototaroudoku01.jpg

希代の芸術家・岡本太郎さんの言葉。
とりわけ、こんなメッセージに震えたそうです。

「安全な道をとるか 危険な道をとるか 迷ったら 危険な道をとる」

安藤美冬さんは1980年、山形に生まれ、東京で育ちました。
学生の頃から49か国を旅し、様々な価値観に触れました。

慶応大学卒業後、集英社に就職し、広告や宣伝に携わります。
しかし、26歳でうつ病になってしまいます。

旅先では誰とでも言葉を交わせた安藤さんが、家で引きこもり、半年間休職しました。
自己嫌悪に陥り、悶々と仕事のストレスを振り返る日々の中で、気づいたことがあります。

安藤
「人間関係も、うまくいかないのも、認められないのも、もっと言うと、当時の恋人ともうまく行かないのも、お金がすぐになくなっちゃうのも、健康を害してしまうのも、全ては自分の責任なんだと本当に心の底から分かったんです。
ノマドとして、フリーランスとして自由に生きていくには、100%自己責任で生きていくことと同義なんですって、よく言うんですけど、それは自分自身へのメッセージなんです。
自分から全て発信していくことが大事だとか、人生は自分で作っていく、決めるものなんだというのも、あの時の6年前の自分の経験があってこそなのかなと思います」

自分の人生は自分で作る。
思い至った時、岡本太郎先生の本に出会いました。

「危険な道をとる」

職場近くの喫茶店でその言葉を目にした時、人目もはばからずに泣いたそうです。
そして、1週間後、退職願を出しました。

安藤
「本当に1年前は全然仕事もなくて、当然、収入もなくて・・・。
でもずっと、心のなかにあった気がします。
彼(岡本太郎先生)の言葉も・・・危険な道を選べ」

【自分をつくる学校】

3月最後の土曜日。
ヴァーチャルなTwitterの世界からリアルな人と人との関わりへ、新しい展開。

●自分をつくる学校
http://jibun-school.com/

自ら企画、運営する自分を作る学校を開校しました。
学校は月に1度の講義で5か月間。
会社員からフリーランスまで、受講生の顔ぶれは様々です。

安藤(講義中の言葉)
「組織から個人へと主体が移りつつある、この日本の変化の先頭に立って新しい生き方とか働き方を同年代の人達とシェアをしたいと・・・。
今まで自分がやったことのなかったことに是非チャレンジしてもらいたい。
決して発見することがなかった新しい可能性や才能に出会えるかもしれない」

今の時代に自分らしく生き抜く術を共に学んでいきたい。
それが開校の理由です。

ノマドワーカー・安藤美冬さんは、今日も仕事場を探して街を歩きます。

(おしまい)

※※※


【神崎の感想】

芸能や文化、スポーツ以外のビジネス業界で、こんなにも一人の女性の行動に注目・支持があるのは久しぶりです。

安藤さんの前は、勝間和代さんだと思います。

●勝間和代(経済評論家・公認会計士)さんが注目される理由 in 情熱大陸【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001656.html

●勝間和代(経済評論家・公認会計士)さんが注目される理由 in 情熱大陸【2】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001657.html

●勝間和代(経済評論家・公認会計士)さんが注目される理由 in 情熱大陸【3】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001658.html

勝間さんは私と同世代。
離婚して子どもを一人で育て、男女共同参画、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)などに積極的です。
インターネットやデジタルガジェットを活用したり、仕事は自転車で移動したりとか、彼女の生き方そのものに憧れを覚えた人も多い事でしょう。
安藤さんは、その一つ下の新世代です。

勝間さんは「インターネット」を自身の仕事の拡大に活用しました。
安藤さんは「ソーシャルメディア」で仕事を得て、自身の行動を広げるのに活用しました。

インターネットが当たり前の世代であり、そのインフラを人とのコミュニティにどんどん特化した活用は、新世代ならではです。

1960〜1970年代の私の世代でも使ってはいますが、感覚が違うと思います。
私の世代をクルマで例えるならば、エンジンの構造やボディの設計を熟知した上で、自分にあったクルマを作り上げる感じ。
そして、自分の生活の中心へとけこませる。

安藤さんの世代は、クルマの存在は当たり前。
エンジンの構造とかの理解は省き、そもそも自分の生活に必要なのか考える。
どの程度必要かを考えた上で買うなり、レンタル・カーシェアリングをする。
不要ならば、公共機関を活用し、所有することの様々なストレス、リスクを上手に軽減する。
クルマは生活の中心ではなく、単なる道具・選択肢の一つ。

一から作り上げるのではなく、既にある様々な中から選択する世代だから、「所有」にこだわりません。
だから事務所を構えず、カフェでパソコンを使って仕事ができる。
良く聞く「断捨離」というキーワードを当たり前に行なっているのです。
私の世代だと、カフェでパソコンを使うことはあっても、ある意味、「ドヤ顔」をする為の演出という感じは否めません。
若い人達にも多少はあるけれど、無理・違和感がない。

安藤さんは、なるべく様々な「荷物」をおろし、軽快に生き抜こうとしています。
不況が永続し、上向くことが期待されない世の中、フットワークの軽さは武器になります。

安藤さんは、最小限のリスクで仕事が出来るよう環境を作るのに、「危険な道」を選びました。
矛盾しているようですが、大きな組織に守られる為に我慢を強いられる行為を捨て、自分で自分を守る姿勢は、なかなか出来ることではありません。
思い切ってそれを選択した行動力をとても尊敬します。

安藤さんと同世代の人は、彼女に憧れるでしょう。
模倣しようとするでしょう。
行動する時、不安だから友達もつき合わせるでしょう。
しかし、そんな事では安藤さんのようにはなれません。
すでに模倣している時点で、安藤さんが向かう方向とは違うのですから。

いきなりフリーな事をやるのも、人によって向き不向きがあります。
もし私が相談を受けたならば、「ボランティア」というキーワードで行動を勧めます。
今の現状を捨て、漠然・曖昧な中で模索するより、行動が明確・即効性があるからです。
人のために自分を役立たせる行為は、自分も相手も幸せに出来ますしね。

話しはそれましたが、新世代のこの注目をあびる女性の活躍に期待したいです。

Posted by kanzaki at 2012年05月04日 15:30