2012年06月09日
女性用プルタブオープナー「CANGAL（キャンギャル）」〜自社の技術力を"カワイイ"でアピールした秀逸な商品(新潟県三条市・石田製作所)
【CANGAL（キャンギャル）」とは？】
女性用プルタブオープナー「CANGAL（キャンギャル）」という商品があります。
●CANGAL OFFICIAL SITE｜ISHIDA FACTORY PRODUCE
http://ishidafactory.com/cangal/
この、綺麗なアクセサリーのように見える商品は、缶ジュース・缶コーヒーの蓋(プルタブ)を開ける道具です。
つま先部分をプルタブに差し込んで開けます。
ネイルアートを楽しむ女性の「爪が割れて缶ジュースが開けられない」という悩みを解決しました。
また、握力の弱いご高齢の女性にも好評です。
他社の製品との違いは、シンデレラのガラスの靴をイメージしたハイヒールのデザインと、鏡のように磨き上げられた美しさです。
この高級感により、売上も好調です。
この商品は、新潟県三条市にある「石田製作所」が開発しました。
●ISHIDAFACTORY
http://ishidafactory.com/
(新潟経済社会リサーチセンター月報より)
※
【開発のきっかけ】
(CANGAL 溶接工程)
石田製作所は、農機具の部品加工を手がけています。
取引先が海外へ生産を移していくのに伴い、受注が減っていきました。
その為、自社商品を開発し、生き残りを模索しはじめました。
ある時、F1レースとのコラボレーション事業へ参加することになりました。
その際、フォーミュラーカーを模した「F1型プルタブオープナー」を試作し、会場で配りました。
すると、キャンペーンガールから大好評となりました。
もっと女性好みのカワイイデザインが欲しいという意見を受け、アクセサリーとして使えるプルタブオープナーを開発することになりました。
元々、金型・プレス・溶接・曲げの技術を持っている同社。
更に、携帯音楽プレイヤーiPodの鏡面加工で有名な、地元の小林研業から研磨技術のノウハウを得て、一貫生産の体制が整いました。
※
【今後の展望】
（CANGAL 研磨工程（コバスリ））
この商品は、見た目の美しさだけではなく、精巧な技術力が集約されています。
全てのプルタブに対応できるスグレモノで、他の商品にはない高性能さです。
37の工程を経て作られる同商品は、石田製作所の技術力の「見える化」という狙いもあったそうです。
この「見える化」のおかげで、石田製作所の技術力を広く認めてもらい、新たな別の商品の受注があったそうです。
日本の「カワイイ」は、海外の女性にも人気です。
そこに「便利さ」を加えた「CANGAL」を韓国や台湾などへ売り込む予定です。
※※※
【アピール力】
どんなに優れたものを作れても、それを多くの人達に知ってもらわなければ、売り上げには繋がりません。
今の時代、どうアピールするかが重要です。
かなり目立ったものならば、テレビや雑誌が取り上げてくれるでしょうが、そこまでに至るには、やはり自らが発信する必要があります。
石田製作所は、自社の技術力をコンパクトにまとめ上げ、「カワイイ」でアピールしたことが秀逸だと思いました。
技術力を写真や文字だけでアピールするより、実物で提案される方が説得力があります。
こういった試みは、地方の会社、工場でも、アピールできるチャンスです。
今後、どんどん増えていくのではないでしょうか。
※※※
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