2013年01月04日

ゲートコントロール説とは?〜痛いところがあると、そこを手で押さえるのは、ちゃんと意味がある

control01.JPG


桜美林大准教授・山口 創さんが、「自然な手当て」について語っています。


私たちは何かしら「痛み」というものに悩まされています。
厚生労働省の調査によると、もっとも多い自覚症状は、腰痛・肩こりでした。


人は痛いところがあると、そこを撫で擦ります。
犬や猫なども、痛みがあると舐めて癒します。
これは、体に備わっている「手当て」の行為です。



【ゲートコントロール説】


痛みがあると、身体を損傷した部位から、様々な物質が出てきます。
それが電気信号に変換され、その情報は神経から脊髄を伝わって脳へ届きます。


この時、痛いところを撫でると、その触覚の情報も別の電気信号となって脳へ到達します。


脊髄には、痛みの信号が入る量を調節するゲート(門)があります。
痛み信号はそのゲートを通り、脳へ入って行きます。
触覚の情報は、そのゲートを閉める働きがあります。


すると、痛みの信号が脳へ届きにくくなり、痛みを和らげるのです。
これを「ゲートコントロール説」と言います。



【痛みを和らげる方法】

左手に痛みを与えた時に、痛みのない右手で毛皮のような心地よい素材のものに触れるだけでも痛みを和らげる効果があります。


もし、体に痛みがある時には、できるだけ柔らかくサラサラした天然素材の肌着を身につけると良いそうです。
全身からの触覚情報が痛みのゲートを閉めるため、痛みが和らぎ、ストレスが軽くなるでしょう。


※※※


痛いところがあると、そこを手で押さえるのは、ちゃんと意味があったのですね。
痛みを別の触覚で軽減する。


幼い子供が風邪や熱などで具合が悪い際、母親がお腹や背中をさすってあげる行為も、「ゲートコントロール説」的には正しいのでしょうね。
それは触覚だけではなく、「親の愛情」も、痛みを和らげる大きな特効薬になっているのでしょう。


以前、好きな人がそっと手を握ってくれると心が楽になる事を書きました。
特に男性の場合は血圧が下がり、仕事のストレスが軽減される効果が確認されています。
スキンシップをすることで、「オキシトシン」というホルモンが分泌されるからです。
オキシトシンは、親密な人間関係を築いたり、リラックスを促したりする効果があります。


●「オキシトシン」は幸せホルモン〜慰めの言葉より、好きな人がそっと手を握ってくれる方が、心が楽になる
http://kanzaki.sub.jp/archives/002715.html


痛みという感覚は、非常に辛いものです。
我々は医者ではありませんので、投薬や治療はできません。
けれど、愛する人に触れることによって、お医者様以上の力を相手へ与えることが出来るのではないでしょうかね。



【関連記事】


●ロンドン五輪を戦っているトップアスリートも重要視する、アイスバッグによる「アイシング(冷やすこと)」
http://kanzaki.sub.jp/archives/002707.html

●虚心坦懐(きょしんたんかい)に意見を聞く〜子供の世界も、大人の世界もコミュニケーションが大切
http://kanzaki.sub.jp/archives/002729.html

●男性に多い「隠れ冷え性」が、肩こりや足腰の痛みの原因だったりします
http://kanzaki.sub.jp/archives/002549.html

Posted by kanzaki at 2013年01月04日 23:45