2011年07月10日

「新潟動物ネットワーク(NDN)」の代表・岡田朋子さん〜10年間の動物愛護ボランティア活動を続けてきた岡田さんを支えたものとは?-BSN水曜見ナイト「伊勢みずほの夢と逢いましょう」より

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※散歩中に撮影させていただきました。飼い主の方がとても優しくて、この方に飼われているワンちゃんは幸せだなあと思いました。


【今回のお話し】

今日は、動物愛護についてのお話しです。
新潟には、「新潟動物ネットワーク(略称・NDN)」というボランティア団体があります。
捨てられた犬や猫の保護などを行っています。
開始から10年が経過した活動について、代表の岡田朋子さんがテレビの取材を受け、自身の言葉で語っていました。
保健所で行われている殺処分の実態などから、我々はペットを飼う心構えを学びましょう。

●新潟動物ネットワーク(NDN)
http://ndn2001.com/

●BSN水曜見ナイト
http://www.ohbsn.com/minight/
(7月6日、「伊勢みずほの夢と逢いましょう」というコーナーで放送)

【「殺処分」と「犬猫譲渡会」とは?】

動物愛護を語るには、まず二つの言葉を理解しておく必要があります。

●殺処分:
ここで言う「殺処分(さつしょぶん)」とは、保健所にて犬や猫の命を強制的に止めてしまう事です。
保健所が保護した犬や猫たちは、一定期間ここで預かります。
飼い主や里親などの引き取り手があらわれなかった場合、殺処分が行われます。
保健所で保護された犬や猫の多くは、無責任な飼い主の都合により捨てられた動物達なのです。


●犬猫譲渡会:
犬猫譲渡会(いぬねこじょうとかい)とは、捨てられた犬や猫たちの新たな飼い主(里親)を探す活動のこと。
「新潟動物ネットワーク(NDN)」をはじめとする全国各地のボランティア団体は、保健所から引き取り、新しい飼い主を探す活動をしています。
これにより、一匹でも多くの命を救おうとしているのです。

【新潟の殺処分数の実態】

テレビの取材班は、新潟動物ネットワーク(NDN)が開催する譲渡会の会場を訪れました。
譲渡会は月に一回、開催されています。
犬猫譲渡会にて見受けられる愛らしい犬や猫たち。
これらの犬や猫たちは、飼い主たちの都合等で保健所へ持ち込まれ、収容されていたのです。

収容された動物は、一定期間で殺処分されてしまいます。
新潟県では昨年、およそ2,400匹もの犬や猫が処分されました。

●平成22年度の新潟県の殺処分数は、合計2,424匹(犬141匹、猫2,283匹)

保健所から犬や猫を保護し、新しい飼い主を探す活動などをするボランティア団体。
それが、「新潟動物ネットワーク(NDN)」です。

「新潟動物ネットワーク(NDN)」では、保健所から動物たちを保護するだけではなく、健康状態のチェックや躾(しつけ)を行ってから、新たな飼い主を探します。

代表の岡田さんは、キチンとした飼い方をする人が増えていくことを願っています。

【代表・岡田さんが願う夢とは?】

ここからは、番組内でのインタビューの模様を書きます。
聞き手は、フリーアナウンサー・伊勢みずほさんです。
伊勢さん自身も、新潟市動物愛護推進員として活動しています。
捨てられていた猫を保護し、自宅にて大切に育てています。

●伊勢みずほさんのオフィシャルブログ
http://ameblo.jp/isemizufo/
(猫のメルシー君は、ブログによく登場しています)


今回の主役、新潟動物ネットワーク(NDN)の代表・岡田朋子さん。
本業は、歯医者さんです。
インタビューは、岡田さんのご自宅で行われました。

ご自宅には9匹の猫がいます。
岡田さんの飼い猫であるミー坊(10才)をはじめ、保健所から引き取り、里親が決まるまで保護している猫たちがいます。
新潟動物ネットワーク(NDN)では、犬や猫をそれぞれの会員の自宅で保護しています。
ちなみにミー坊は、新潟動物ネットワーク(NDN)を立ち上げたばかりの10年前、岡田さんが保健所から保護してきた猫なんですよ。

岡田さんの活動の原点は寒い冬。
動物たちの現状を知りたくて保健所へ足を運びました。

岡田さん(以下、敬称略)
「動物たちが収容されている場所って、コンクリートの冷たいところなんです。
冬の新潟だと、あまりの寒さに犬が立ったままで・・・」

少しでも寒さをしのいで欲しい。
岡田さんは保健所に、古い毛布を届けました。

岡田
「そうしたら安心して、犬がうずくまってくれたんですね。
それを見たときに、命は救えないので自分勝手なのかもしれないけれども、でも少しは役に立ったかなって」

伊勢さん(以下、敬称略)
「そこから始まってどんどん、命までも救える活動になっていったんですよね」

岡田
「そうですね」

最初は2、3人ではじめたボランティア活動。
次第に、岡田さんの熱意は共感を呼び、多くの人達が集まりました。
今では1,000人以上の仲間と、様々な活動をしています。

譲渡会以外にも、保護している動物達と小学校へ赴き、子供たちに命の尊さを伝える活動も行っています。

一歩一歩を積み重ね、新潟動物ネットワーク(NDN)はこれまでに、犬と猫2,000匹の命を救いました。
そして、行政や獣医師の協力で、新潟県の殺処分数は10年間で半分以下。3,000匹を切りました。

※新潟県内の犬・猫の殺処分数の推移
平成13年 猫の殺処分数4,968匹 → 平成22年 2,283匹
平成13年 犬の殺処分数 717匹 → 平成22年  141匹

岡田
「それでも3,000という数です。
ただ3,000という言葉を言っても、それはピンとこない数でしかないけれど、それを日々保健所に足を運んで見てしまうと、それは一つの命になってしまうんですよ。
でも逆に頑張ったから、たった一匹でも助けれられたと思うことが、また活力にもなる。
力にもなるんですけれどね。
(思わず涙ぐむ)すいませんね・・・」

思わず見せた涙。
どんなに一生懸命にやっても、法律の壁や社会の仕組みでかなわないことが数えきれないぐらいあったと言います。

動物たちの生と死に向き合い続けた10年間。
挫けそうになったことも何度もありました。

伊勢
「それでもやってこられたというのは・・・」

岡田
「やっぱり仲間でしょうね」

新潟動物ネットワーク(NDN)の仲間たち。
それぞれが自分の出来るボランティアで、動物たちの命をつないでいます。

岡田
「やっぱり、いい時も悪い時も同じ目標に向かって一緒に歩んでいる仲間がいるからここまで出来た・・・それはもう財産だと思っていますね」

岡田さんの夢について、フリップに書いてもらいました。


●岡田さんの夢「NDNがなくなる日」


伊勢
「読んでいただけますか?」

岡田
「NDNがなくなる日」

伊勢
「なくなる日? これはどういうことですか?」

岡田
「こんな事、言っていいんでしょうか(笑)
NDNが必要なくなる日という風に思っています。
保健所で処分される命がなくなったら、私達が救う必要もないじゃないですか」

伊勢
「この日が来ることを私も願っています」

インタビューはこれでおしまい。
VTR放送後、スタジオにて伊勢さんが以下のように語ります。

伊勢
「是非、NDNのホームページも見ていただきたいんですけれども。
一つみなさんに覚えていただきたいことが。
もし、皆さんが飼っている犬や猫が逃げていなくなった場合は、保健所と警察両方に電話して全力で探してください。
保健所だけでは不十分です。
警察にも連絡してください」

【番組を観た感想】

テレビにて、しかもゴールデンタイムで、殺処分について紹介した番組って、今まで無かったと思います。
私ははじめて観ました。

今や一大市場にまで発展したペット業界。
多くの番組・雑誌で紹介するのは、可愛くて華々しい・明るく楽しい部分でした。

捨てられたペットたちが処分されている現状というのは、なかなか伝えにくい影の部分です。
そういった面を紹介したこの番組は、とても勇気のある素晴らしい事だと思いました。
誰かが発信しなければ、知る機会がありませんから。

動物を殺処分する保健所は、どうしても悪者になりがちです。
しかし、保健所も好きでやっている訳ではない。
ブームにのって、安易な考えからペットを飼い、面倒になって捨てた人達が悪いのです。

ちなみに、動物を捨てる行為は「犯罪」です。
最大で50万円の罰金を課せられます。
ペットを飼うという事は、命を育てる行為であり、とても責任重大だという事を知る必要がありますよね。

環境省が子供向けに作成した動物愛護のパンフレットに、動物を捨ててはいけない事が説明されていました。

●動物を捨てることはいけない事だと誰でも分かることなのに、どうして捨てるのだろう?
→世話が面倒になった。大きくなって可愛くなくなった。言う事を聞かない。子供をたくさん産んでしまった。

●動物を捨てる人は、みんなこう言う。
→「こんな事になるとは思わなかった!」

●そして、こう信じようとする。
→「きっと、良い人に拾われて幸せになるさ!」
→でも、現実はとても厳しい。大切な命が消えていくのです。

●本当は最初から分かっている事。けれど、目の前の犬や猫の可愛さに目が眩んで、ちゃんと考えられなくなる。
→世話が大変だと分かってても何とか出来ると思ってしまう。
可愛い仔猫や仔犬が大きくなることを信じられなくなる。
ちゃんとペットに教えてやらないとルールが分からないのに、自分のペットは天才だから大丈夫と勘違いする。
放っておくと子供を産み出すのに、まだまだ小さいから大丈夫と勘違いする。

だから、飼う前に良く考えましょう。飼い方を調べましょう。

●もし、「今の僕には飼えない」という結論になっても、それは負けなんかじゃない。とっても勇気のいることなのです。

●そして、飼い始めたら、ちゃんと対策をとろう。
→しつけをした犬や猫は一緒にいると楽しいし、散歩や世話も楽になります。産ませないように対策をすれば、仔犬や仔猫を捨てることもありません。


上記の、「飼えないという結論は負けじゃない。とても勇気のいる事」という部分に共感しました。
正しい知識・情報を得て、ちゃんと考えて判断を下すことは、どの分野でも大切な事です。
ペットのことも同じ。
「可愛い」というキーワードで全てを無視せず、きちんと考えたいものですね。
これが、殺処分ゼロへの、遠いようで実は近道なのかもしれません。

【関連記事】

●東日本大震災にて新潟はペット支援に大活躍しました
〜「新潟動物ネットワークNDNフェスティバル2011トークセッション」フリーアナウンサー伊勢みずほさん・大杉りささん、新潟動物ネットワーク代表 岡田朋子さん
http://kanzaki.sub.jp/archives/002377.html

●新潟県は動物達の殺処分ゼロを目指しています
〜「新潟動物ネットワークNDNフェスティバル2011トークセッション」フリーアナウンサー伊勢みずほさん・大杉りささん、新潟動物ネットワーク代表 岡田朋子さん、ALIVE代表 野上ふさ子さん
http://kanzaki.sub.jp/archives/002382.html

●映画「犬と猫と人間と」を通して「動物愛護」について考えてみる【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002181.html

●映画「犬と猫と人間と」を通して「動物愛護」について考えてみる【2】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002182.html

●映画「犬と猫と人間と」を通して「動物愛護」について考えてみる【3】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002183.html

Posted by kanzaki at 2011年07月10日 17:31