2011年06月19日

新潟県は動物達の殺処分ゼロを目指しています〜「新潟動物ネットワークNDNフェスティバル2011トークセッション」フリーアナウンサー伊勢みずほさん・大杉りささん、新潟動物ネットワーク代表 岡田朋子さん、ALIVE代表 野上ふさ子さん

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「路地連新潟@グダグダ坂道めぐり」の道中で見かけた犬。帰りに同じ道を通ると、やはり同じ格好でした。この姿勢で景色を眺めるのが好きなんですかね。この撮影2秒後、頭をスポッと抜いて、横から出てきて吠えられましたorz
別アングルは、この記事の一番最後に掲載しています↓

6月12日に書いた記事の続きです。

●前回の記事: 東日本大震災にて新潟はペット支援に大活躍しました〜「新潟動物ネットワークNDNフェスティバル2011トークセッション」フリーアナウンサー伊勢みずほさん・大杉りささん、新潟動物ネットワーク代表 岡田朋子さん
http://kanzaki.sub.jp/archives/002377.html

先日、「新潟動物ネットワークNDNフェスティバル2011」へ行き、トークイベントを聞きました。

●NDN新潟動物ネットワーク公式サイト
http://ndn2001.com/

●トークセッション「あなたが犬や猫にできる10のこと」
<ゲスト>
野上ふさ子さん(ALIVE代表)
白井和也さん(新潟県福祉保健部動物愛護・衛生係長、獣医師)
大杉りささん(フリーアナウンサー、新潟市動物愛護推進員)
岡田朋子さん(新潟動物ネットワーク代表)
<コーディネーター>
伊勢みずほさん(フリーアナウンサー、新潟市動物愛護推進員)

今回は90分のトークセッションの中から、殺処分関係についてご紹介しますね。
(以下、敬称略)

●概要:
新潟県は全国でも殺処分が少ない県です。
また、全国に先駆けて処分方法を変更しました。
麻酔注射で眠らせてから処分するという苦痛の無い方法です。
これは、愛護団体による署名を受けて実現しました。
県、市、民間の連携により、新潟は全国で一番、動物たちに優しい県に近付いています。
それら努力の成果をもっとアピールして、他県の良い刺激になれれば良いと思います。


伊勢
「地震で大変な思いをしている方、そして被災ペットがたくさんいるという現状が、今のお話しから分かっていただけたと思います。
地震が起こる前からも大変な状況で、捨てられたりですね、保健所に連れて行かれたりとか、殺処分されたりとか、そういう犬や猫がたくさんいることをこちらにいらっしゃる皆さんは当然知っているかなと思います。
具体的に新潟では今どんな流れで、どのぐらいの数の犬や猫ちゃん達が大変なことになっているのか、ちょっとその辺をお話ししていただきたいと思います。
まず、現状から。
白井さんからお話ししていただいてもらって良いですか?」

白井
「はい。それでは私の方からお話しします。
(グラフの描かれたパネルを前に出す)
動物の引き取り、殺処分というところの話しになるんですけれども。
なかなか現状としまして、殺処分していますというのが現状です。
新潟県としましては、できるだけ減らしたいと。
出来ることなら殺処分したくない。
私も獣医師の立場からしましてですね、殺処分をしてきた人間の気持ちとしましては、まず(殺処分を)好きですという人はいないです。
できればしたくない。
そういういった事が世の中から無くなってしまえば、一番いいなあと思っている。
そんな中でですね、県内の動物保護管理センターでは様々な取り組みを進めてきました。
その中でですね、こちらのグラフを示すとおり、一番上のグラフですね。
これは抑留頭数といいまして、迷子犬等を保健所で保護した数です。
平成7年ぐらいですと、2,000頭弱いたわけなんですけれども、これが21年になりますと500〜600頭まで下がってきました。
これ一つだけ見るだけでもですね、犬の飼い方が随分と変わってきたのかなと。
先程からの話しにも出てきましたけれども、野山を自由に駆け巡るようなですね、放すと帰ってこないような犬。
そういうのが以前はあったのかなあと思うのですが、結果的に平成20年にもなりますとですね、犬はリードをつなぐというのが定着してですね、飼い方のマナーが向上したのかなと。
そういうところが、一番上の折れ線グラフから読み取れるところです。
そして次にですね、真ん中の線はですね、申し訳ないのですが処分頭数。
いわゆる殺処分の数です。
で、一番下のグラフは、譲渡頭数ということで。
殺処分については7年の時は約1,200頭ぐらいの殺処分をしていたのですが、今現在平成21年度の数字ですけれども、このスケール(表)でいくとほぼゼロに近いぐらいの数になっていて、100頭とかのレベルになってきているのが状況です。
そんな中ですね、注目していただきたいのが譲渡頭数。
このスケールで言うとほぼ横ばいですけれども、これについては細かく見ますと、年々増えてきています。
もらってくれる人が増えている状況にあります。
そして、平成15年、16年あたりから殺処分の数が減る傾向にある中、譲渡頭数がですね、逆に上がってきている状況で、プラスマイナスが逆転している状況です。
お陰さまでですね、今は犬で言いますと400頭ぐらいでしょうかねえ。
400、500頭抑留されている迷子、引き取りされた中で、処分されるのが100頭ぐらいです。
あとの子はですね、本来の飼い主さんのところに帰ったり、新しい飼い主さんに貰われたりという事でですね。
お陰さまで全国殺処分ランキングの中ではですね、新潟県は数年前の統計ですと、殺処分の低い方から数えて4番目とか5番目なんですね。
そういう成績がありまして、それは私もそうですけれど、県の獣医師もですね、一生懸命やってきていまして、その成果だなと。
ただ、それは県だけの仕事だけではなくて、NDN(新潟動物ネットワーク)さんとかですね、動物愛護協会さん、そういう愛護団体の方、民間の方の協力があってのことだと思いますので、引き続き続けていきたいという風に思っています。
それから、お帰りの際にはですね、後ろの展示パネルをご覧いただきたいのですけれども。
新潟県では平成20年度からですね、新潟県動物愛護管理推進計画というのを立てていまして。
10年間で動物愛護管理行政を良くしていこうという事でして。
目標を掲げて、それを目指しましょうという計画なんですね。
その中にですね、殺処分・・・これはゼロにしたいというのが大きな目標としています。
いきなりゼロというのは、なかなか難しいものですから、とりあえず10年で半分しましょうと言う事でですね、目標を掲げて20年度からスタートしています。
ゴールは29年度ですけれども、4年経ちまして、お陰さまで今、当初の処分頭数から54%とか55%とかに下がってきたので、これは順調に推移しているところであります。
この結果が招いた理由というのは、二つあると思うんです。
一つは今言ったように、譲渡率の向上。
貰ってくれる人がだんだん増えてきたものですから、処分しなくて済むような状況になっているのが一つありますし。
もう一つは、死ぬまで飼いましょう、そこまで面倒を見ましょうという、そういうのがが定着しはじめたのかなというところです。
保健所という枠で考えていみるとですね、そういう不幸な動物の保護が一番ですね。
来る数を減らしたい。
そして、また来てしまったものは、できるだけ殺さずに新しい生活をしてもらおうというのが、譲渡推進ということでですね。
今はこういう状況ですけれども、今後も皆様のご協力をいただきながらですね、お近くに犬が欲しいわ、猫が欲しいわという方がいらしたら、ペットショップへ行く前に保健所なり、動物保護管理センターへお訪ねいただければという風に思っています。
こんな状況です」

伊勢
「どうもありがとうございました。
ワンちゃんに関して今は、100頭ぐらい年間に処分されていているという事だったんですが。
100頭いるということは、その分の無責任な飼い主がいるという事ですので、そういう人達がいなくなれば、私はゼロに絶対にいつかなれるし、可能だと思います。
絶対にゼロにしたいと思っているんですね。
実際にずっと長く活動されている岡田さんにも伺いたいんですけれども。
この殺処分がどんどん減ってきたのがグラフを見ても分かりましたけれども、その活動に携わってきて、具体的にどんな事をしてきたのか、そして今の具体的にNDNさんの活動を教えていただけますか?」

岡田
「そうですね、あのう、NDNというのは今でこそ多少、愛護団体として認知されるようになってきたのかなと思いますけれども。
10年前、ほんの数名で立ち上げた時は、それこそゼロからのスタートで、何をしたらいいか分からないのだけれども、身近な動物たちの為に、私達が出来ることをね、ほんの少しでもしていこうじゃないかと言う事で立ち上げた会なんですね。
最初の頃は、里親探しなんてことはとても出来なくて、処分される動物たちに少しでも何かしてあげたいと思って、保健所に古毛布を送る運動から始めました。
寒い寒い保健所はコンクリートだけで、冬の寒さの中で犬は座ることも出来ないぐらいの状況なんですね。
でも、それを一般の方は見る機会がないじゃないですか。
なので、それを見るのは怖くてできない方達に代わって、毛布を集めて、最後の数日間だけでも、ちょっと温かい思いをして欲しい。
処分をされればそれは本当の愛護とは違うのだけれども、それでもやらないよりはやった方がいいですし、それによって関心が向けばいいなあと思ってはじめて。
それは現在も続けています。
そうこうする内に、人の輪が広がっていって、一匹、二匹と里親探しをするようになっていって。
それまでは、なんとなく雲の上の存在だっような行政の方も、中に飛び込んでいって色んなお話を聞くと、果たして行政が悪いのかな?というのが見えてきまして。
行政の方も、先ほど白井さんがおっしゃったように、誰も好き好んで処分しているわけではないんですね。
でも、行政には行政の役割があって、そこから超えられない部分があって、それを埋めていくのが、案外、飼い主さんと行政の間に立っている愛護団体の役割なんじゃないかなあということは少しずつ見えてきました。
お互い、叱咤激励しながら里親探しをしたり、行政に協力したり、もしくは行政のここが問題だと思うようえなところがあったら、それを積極的に声に出していこうじゃないかと。
ひとつ具体的な事を言うと、殺処分の方法ですね。
殺処分というのは、ある意味でタブーみたいなところがあると思うんですけれども。
新潟では筋弛緩剤と言って、和歌山のカレー事件で殺人に使われた、呼吸だけを止める方法を採用していました。
なので、本人は凄く苦しいんですけれも、声を出すことが出来ないから、なんとなく安楽死みたいに見えます。
そして厚生省のマニュアルの中では、それが安楽死では無いとは言ってませんけれども、じゃあ自分がそうやって死にたいかなと思ったら、死にたくない方法じゃないですか。
そういう事も、一般の方は知らないけれども、身近で見ていると私たちは気がつく訳ですね。
なんとか麻酔で眠らせてから処分するという方法の方が、より動物たちにとっては苦痛が少ないんじゃないかと。
という事で、署名を集めて行政に提出している。
それがちょうど時代の流れにマッチしていたという事の中で、新潟県の場合は全国に先駆けて処分方法を変更していて、現在に至っています。
本当にそういう細かいことは沢山あって、例えば里親さんへの譲渡に関しても、子犬やよっぽど若い犬だったら貰われていくけれども、あえて大人になった犬はどういう飼い方をされていたか分からないから、ちょっと譲渡には向かないねえみたいな流れも昔はあった訳ですよ。
それ以前に処分される数が多かったですから。
でも今は、実は行政が保護してから飼い主さんが見つかる迄にワクチンを打ったりとかしています。
他にも、ワンちゃんの場合はマラリアにかかっているかどうかを検査してくれたりとか、簡単な治療をしてくれたりとか。
そして法的には三日間しか処分しない期間がないんですけれども、実際は行政の方では、一ヶ月は様子を見ています。
長い子では二ヶ月。
他のセンターでは半年なんていうのもありますしね。
そういう風にして、救える目処がつけば保護していこうという流れを作ろうと、NDNはお手伝いをしています。
もう一つは、これからの子供たちですね。
今いる大人達は、昔の飼い方しか知らなかった。
でも、子供たちには、飼ったら最後まで育てるのが当たり前・・・そういう大人になって欲しいと思うじゃないですか。
なので、ほんの僅かではありますけれども、学校訪問活動というものを今していまして。
かつて捨てられて、そして今幸せになったワンちゃんを連れて行って、子供たちと単に触れ合うんじゃなくて、どんなエピソードでこの子たち(動物)がいるのかを知ってもらって、じゃあみんなはどんな事を考えればいいのか。
ペットショップで買うのかなあ。
保護管理センターで貰う方法もあるね。
責任をもって飼うということはどんな事なのかなあという事を少しずつ伝えるということも、私達の役割じゃないかなと思って現在もやっています」

伊勢
「その小学校とか幼稚園に行っている活動を大杉さんも積極的に参加されていますよね。
どんな思いで行かれているのでしょうか?」

大杉
「そうですね。子供たちには、より分かりやすくということで、人形劇だったりとか、絵本の読み聞かせ等をしています。
子供たちに、何か質問ありませんかと問いかけると、意外と最近の子達は(積極的に)手をパッとあげてくれます。
凄く関心したのが、"保健所って悪いところなんですか?"って言うんですね。
でもそれって、素朴な疑問ですよね。
その時に私達がお話しをしたのは、"保健所は決して悪いところじゃなくて、捨てる飼い主さんがいなければ、保健所ってそういう事をしなくてもよくなるんですよ"という事です。
そうお話しすると、"ああ、そうか"みたいな返事が返ってきました。
子供たちが動物を飼いたいと思ったら、ホームセンターやペットショップで気軽に買える時代になっているので、その前の時点でもう一回、命を育てることについて知ってもらいたいです。
今、小学生で飼ったら、犬や猫は15年ぐらい生きますからね。
みんなが大学生になっても、結婚をしても、今可愛がっているワンちゃんや猫ちゃん達と一緒に暮らせるよというお話をさせていただいています」

伊勢
「大杉さんは、ラジオの取材でも、保健所へ行かれたのですよね?」

大杉
「そうですね。伊勢さんもそうでしたけれども。
それはラジオ(の取材)だったんですけれども、リポートして番組で放送しました。
新潟市の犬猫の愛護動物管理センターが東区にあるんですけれども、プレハブ建ての収容棟です。
そこに行くと、犬や猫たちって、人の足音がすると凄く吠えたり、鳴いたりするんですね。
そこに行って衝撃的だったのが、威嚇をして鳴いたり、吠えたりするんじゃないんです。
お父さんお母さんがやっと迎えにきてくれたんだと思って、ク〜ンって鳴くんです。
人に可愛がってもらった事がなければ出せない鳴き方をするんですね。
ケージの前とか、檻の前に行くと、決して噛み付いてくることもなくて。
逆に手を出したりすると、ぺろぺろとか舐めたりして。
そんな動物たちが、ここにいるって事が凄く辛くて衝撃的だったんですけれど。
ラジオで映像が見えないという中でも、その鳴き声を聞いた人達から、凄く大きな反響が寄せられました。
"ああいう風に鳴いている動物たちを少しでも救いたい"と。
今まで、管理センターという場所も知らなかったし、保健所のやっている役割、動物愛護団体がやっている役割、活動も全く分からなかったけれども、今まで一頭目はペットショップで買ったけれども、二頭目からはそういう動物たちをうちの家族に迎え入れたいという気持ちを持ってくだったリスナー達がいて。
それは凄く自分自身、良かったなあと思ったことでした」

伊勢
「白井さん。
保健所・・・皆さんが分かりやすいように保健所と言わせていただきますが、そういう所から直接、おうちに迎え入れたいというのは可能なんですか?」

白井
「はい。新潟市も県も保健所では動物の譲渡という形で、欲しい飼い主さんに飼ってもらえるような仕組みを作っているところであります。
その譲渡に際しては、いろいろなお話しを聞かせてもらう事はありますが、皆さんが考える犬猫を飼育できる普通の環境を整えてくれれば、新しい飼い主さんになれると思います。
一番のネックになるところは、例えば動物の飼育が認められていないアパートだと、私は飼いたい気持ちがあるんですと言われても、それはなかなか難しいです。
それと、岡田さんからもお話しがありましたけれども、新潟県・新潟市では成犬譲渡(せいけんじょうと)・・・大人の犬の譲渡などもそうですけれども、そういうものを進めているところであります。
その成犬の度合いについてですね、3歳がいたり、5歳がいたり、10歳がいたりするんですけれども、貰われる方のライフスタイルを聞かせてもらいまして、この犬がその人にあうかどうかを相談させてもらいながら新しい飼い主になってもらいたいなと思っています。
例えばお仕事、お勤めを終えてですね、これから自由な生活・第二の生活が始まるような・・・60、70歳オーバーぐらいのご夫婦が、犬が欲しいんだけれどと来た時にですね、3歳のボーダー・コリーは預けられませんよね。
なぜかというと、ボーダー・コリーは朝の散歩を一時間以上しなければいけないんですね。
しかも、フリスビードッグなんで大変なんですね。
それを今言ったライフスタイルの中では、ちょっと問題がある。
そういう方には例えば、7歳、8歳の割とおとなしい犬ならば、引っ張られないし、人の横に常についているような、そうした犬がありますよと。
その人の生活を見ながら勧めています。
この犬が欲しいと言っても100%貰える状況ではないですけれども、できるだけ要望がかなえられるようにしています」

伊勢
「保健所の場所をご存知無い方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。
予約というか電話をして訪ねていけば、見せていただけるんですよね」

白井
「保健所の方では、インターネットのホームページにて、新しい飼い主を待っているワンちゃん、猫ちゃんの画像をアップしていますので、そちらを見てですね、一度顔を見て、それから話しを進めてもらえればよいかなと」

伊勢
「猫ちゃんも?」

白井
「猫もです」

伊勢
「しているんですね。是非、見ていただいて。
私もラジオの取材で行ったから、一歩を踏み出せたところがあって。
じゃなければ、個人では犬猫抑留所には、なかなか行けなかったですね。
でも、行ったことによって凄く感じることが大きくって。
先ほど、白井さんがお話ししたような事をですね、私ならば毅然と話せず、絶対に泣いてしまうのであまり話せないですけれども。
もしも、機会があったらと言うのは変ですけれども、今日を機会に、もし勇気がある方がいらっしゃったら、あの現場を多くの人に知ってもらえたらなあと思います。
そして、一歩を踏み出してもらえる方が一人でも増えたらいいなあと思います。
そういう現場が新潟市の私達の身近にあるという事は知っててもらいたいなと思います。
野上さん、全国的に見ても、なかなか減らない殺処分ですけれども、今、新潟の三人の方にお話ししていただきましたが、その取り組みいかがでしょうか」

野上
「新潟県は人口比率から見ても、非常に殺処分率は低いです。
全国的に見ても、大変良い取り組みをしていると思っています。
熊本市の取り組み等は結構、テレビで全国放送されているわけですが、新潟県の方はあまり情報発信が無いのか、あまり知られていない気がするんですね。
全国レベルで見てみると。
ですので、もっと宣伝をしていただいて、他の自治体の刺激になるようにしていただきたいと思います。
特に殺処分方法についても、いち早く麻酔注射による安楽死を取り組まれたという事は、全国の先駆けになる例です。
しかしその割には知られていないので、宣伝していただきたいと思います。
ひとつまだお話ししていないことがあるので追加したいんですが。
この犬猫の殺処分数を作り出している一つの原因は、動物取扱業にあることを忘れてはいけないと思うんですね。
私たち(ALIVE)は、全国にて、何故人は犬猫を保健所に持っていくのかをずっと調査しています。
その中で、動物の繁殖業者が売れ残りとか、病気になったとか、遺伝的な病気があったので処分してくださいと言って、行政に持ち込む例が非常に多い事が分かりました。
一昨年などは、関西の尼崎市というところで、毎年50頭ずつコンスタントに業者から引きとって殺処分している例がありました。
尼崎市は毎年のコンスタントの50頭を引けば、殆ど10匹とかそれぐらいしかいないところなんです。
業者からの引取りがあるために、ずっと高くなってしまっていた訳なんですね。
行政が、業者から引き取るというのは考えていただきたいなと思うんです。
業者の後始末をなんで行政がやるのかという事もあります。
もう一つは、ペットショップですとか流通の段階で、犬猫が病気になったり衰弱したりして死んでいる事ですね。
行政の殺処分数は減ってはいるんですけれども、目には見えないところで無意味に死んでいる率がかなり増えている事も確かなんです。
これは環境省の検討会で、あるペットショップチェーン店の方が実際に言っていたことですが、平均10%以上がペットショップで死ぬというんですね。
今、60万頭ぐらいが流通している訳ですけれども、もし本当に全ての店で、10%のロスがあるという事は、6万頭は流通の過程で死んでいるという事になるわけです。
何故、こういう事になるかと言いますと、その繁殖業者の施設環境が非常に劣悪で、そこで感染症が発生したりしていると。
それと、遺伝的な疾病(しっぺい)が非常に増えていまして。
純血種同士というのは非常に無理して作ってきているということがありまして、近親交配を重ねていく為に、様々な目に見えない遺伝的な疾患を抱えている事が多いです。
そういう生まれながらに病気を持った仔犬を作り出してしまっていて、目に見える形では、そこの業者で殺処分していますけれども、目には見えない形で一般に流通してしまいますと、ペットショップから買った人達が、(ペットが)だんだん具合が悪くなってきたとか、病気が出てきて医者に見せてもこれは遺伝的疾患だから治りませんよと言われてしまう。
そういうケースが非常に増えています。
私達が、大阪府の動物取扱業に関する苦情の調査をした時には、かなりの割合で遺伝的疾患というのがありました。
そういう風に、今のペット産業というものが大変歪(いびつ)な形になっているので、その過程で無意味に命が作られ、消耗され、処分されていく現実があります。
ですので、安易にペットショップから買うという事を買う前によく考えていただきたい。
そして出来れば、こちらの行政や団体の方々がおっしゃったように、行政や愛護団体から貰うという習慣を広く社会の常識として根付かせていくということが大事ではないかと思っています」

伊勢
「どうもありがとうございました。
やっぱり、お話しを聞かないと知らない事ってのが、たくさんあるもんだなと今日のお話しを聞いて実感いたしました。
残りの時間が少なくなってきましたが、最後にお一人ずつですね、これからどんな社会を目指したいのか、どんな新潟にしていきたいか、目標と言いますか、夢と言いますか、お聞かせいただきたいと思います。
では、大杉さんから」

大杉
「はい。殺処分に関しては、犬は凄く減っているんですけれども、猫はまだまだ数が多いです。
収容されるのが、年に3,000頭ぐらいあると思うんですけれども。
猫はペットショップから買う買わない以前の問題で、野良ちゃんは産んじゃいますよね。
私も猫が好きだと、なんか引き寄せられて、そういう現場に遭遇することが多くて。
去年も4匹仔猫を育てて、飼い主さん探しをやったんですけれども。
野良ちゃんの問題をいち早く新潟で、何か革命的な事を白井さんにも是非協力していただきたいんですけれども。
例えば、地域猫みたいなモデルを作ってみるとか。
古町(新潟市の古くから続く繁華街)とか良いと思うんですけれどね。
飲み屋さんが猫ちゃん達にご飯をあげて、路地にいたりするんですけれども。
そういう猫を避妊手術して、この街に来れば猫たちに会える下町を打ち出していくとか。
そういうモデルケースを作ってみたりとか。
あと、皆さん猫の捕獲器とか使った事って無いですよね?
うちの庭にご飯を食べに来る猫がいたんですね。
動物病院から借りた捕獲器を仕掛けるために、二ヶ月ぐらい餌付けして。
よし、じゃあその子を手術してあげたい、うちの地域猫にしようと思って仕掛けたときに、凄く葛藤があったんです。
ガチャンと仕掛けに入ったときに、凄くやっぱり暴れて、泡を吹くパニック状態に猫がなっていて。
こんな事までして、私手術して、果たしてこれが猫の為になるのか一瞬思ったのですけれども。
病院から帰ってきて、二日後にはまた自宅に戻ってきて、ポリポリご飯を食べるようになっていました。
皆さんも手術を勝手にする事って、凄く悪い事のような気持ちになる時期もあると思うですけれども、一歩踏み出してほしいです。
街の猫としての野良猫の人生は短いので、そういうお手伝いが出来ればと。
近所の方達と(折半で)すると(手術は)凄く価格が安いです。
三頭やったんですけれども、最後の二頭は近所の方三人とやりました。
愛護団体から一万円の補助金が出るので、たった三千円ぐらいで手術が出来ました。
そうすると一匹の猫が六匹になって、それが18匹になって、一匹の猫が年間79匹に増えるっていう、この連鎖をどこかで断ち切る事が出来ると思うんですね。
そうなった時に、新潟県の猫ちゃんの処分数もぐっと減っていくと思います。
地域猫を作るってことは、そんなに難しいことではないと思います。
私にでも出来たぐらいですので、その協力を皆さんに呼びかけていくのが私の夢であり、これからも続けていきたいと思っています」

白井
「今の地域猫の話し。
全国でも問題になって、行政でも取り組んでいるのではありますけれども。
皆さんが地域猫を考えるに当たっては、是非、町内会とかの地域の横のつながり、それから行政のアドバイスをもらってですね、それで進めていっていただきたいと思います。
地域猫が駄目とかではなくて、トラブルになることが非常に多いんですね。
大杉さんのようにポジティブに前向きにやったのに、結果的にトラブルになってしまったのでは、せっかくの取り組み無駄になってしまいます。
地域で考えの行き違いが無いようにしていただければと思います。
大杉さんの意見は大変参考になりました。
新潟県ではですね、動物愛護センター的なものをですね、今整備しているところです。
場所は長岡市の関原町という、新潟県立歴史博物館の近くなんですけれども。
名称はまだ決まってませんが、人と動物のふれあいが出来る拠点をですね、作る計画があります。
来年4月オープンを目指して進めています。
この施設は新潟県の動物愛護関係の中心的な位置づけで、譲渡推進、避妊手術等をいろいろと進めていきます。
それと、今まで保健所や動物保護管理センターでは無かった機能としまして、一般の方におこしいただいて動物との触れ合いを楽しんでいただく県民参加型の施設として整備しているところです。
この施設は譲渡推進という事で、今まで十分にしつけが出来なかった犬・猫についても、ある程度中期的な形でもらいやすい環境づくりのようなものをしていければいいなと準備を進めているところです。
オープンしましたら、是非一度足を運んでもらいたいと思っています」

野上
「全国のセンターを見て回ったのですが、地域格差が大きいです。
でも、昔から新潟のセンターは熱心だと思います。
昔、私の地元の小出にあるセンターへ行ったときですが、その当時から犬猫の譲渡をしていました。
譲渡をしたら、貰ってくださった方々が千円を払って、自動的に地域の動物愛護協会に入るということになっていたんですね。
その千円のお金を積み立てて、仔犬のペット場を作って居住の改善をはかっていました。
また、その千円を会費にして、ニュースレターを作って、貰ってくださった方々に行政から情報発信していると伺いました。
全然全くそんな事は知らなかったんですけれども、こんな小さな田舎でですね、しかも私の地元の近くでよくやっていると思って、非常に感心して、いろんな県の人にもお話ししてですね、こういうところでも頑張っている自治体もありますよと言ってきたことがあります。
おそらく新潟県の行政が非常によくやっている事は、突然ではなくて、多分昔からそういう風土があったからではないかと思います。
でも、そういう良い例を広げていかないといけませんし、特に近隣の県とかに影響を与え、全国的に底上げをしていきたいと常日頃思っています」

岡田
「今日は皆さん、どうもありがとうございました。
まとめではないんですけれども、この活動を10年続けてきた話しを。
10年前に、何が出来るか分からないけれど、何かをしようという所から始まりました。
こうやって活動を続けていきますと、結局つきつめると、動物の問題というのは人の問題になるんですね。
動物だけが暮らしているわけではなくて、ペットの問題にしろ、それ以外の問題も、社会の一員としてのペットであったり、社会の仕組みの中のペットだったり。
私達が急に大きく何かを変えることはできないけれど、身近で問題だなと思ったことがもしあったら、そこは臆さず行動に出てみるとか。
何か自分が一歩踏み出すことによって、間違いなく何かが変わるということをこの活動を通して経験しています。
それは、ペットの問題というだけではなくて、今回のようにだんだん人の輪が広がっていくと、自分では出来ないことがこの人には出来る。
例えば、私には出来ないけれども、伊勢さんのように沢山の人にアピールできる力を持っている方が保健所に行って、それを発信することによって多くの人に知ってもらう。
そういう輪が、今良い方にどんどん広がっているのが、新潟の現状なんじゃないかなあと風に思っています。
新潟県の方々は自己アピールが苦手でして、もの凄く自分のことを偉ぶったりとか、宣伝するという県民性じゃないんです。
なので、逆に地に足をつけて確実にそれを変えていく事で、外に向かって、その結果を示していく。
もしかしたら新潟県だけではなくて、全国の動物愛護行政を動かす力にもなるのではないかと、野上さんの今日の(講演会)を聞いて感じました。
そういう良い機会を得まして、どうもありがとうございました」

(その後、客席からの質疑応答)

伊勢
「今日のお話しを私も聞かさせていただきまして、新潟は全国で一番、動物たちに優しい県に近付いていると思います。
そうなることによって、私達マスコミにいる人間としては、それをもっともっとPRして、全国に発信して、新潟って凄いんだ、新潟が出来ているんだから私達の県でも出来るんじゃないか、そう思ってもらえるように発信していきたいなあと思っております。
皆様のおかげで有意義な充実したトークセッションになったんじゃないかなと思っております。
ゲストの皆様に大きな拍手をお願い申し上げます。
どうもありがとうございました」

会場から大きな拍手。

以上がトークセッションの内容です。
いかがでしたでしょうか。
私も私なりのやり方で、愛護に関する情報を定期的に発信したいと思います。


※※※

●伊勢さんについての主な関連記事
(神ナナでは下記以外でもちょくちょく、記事内で書いたりしています。右フレームの検索窓で検索してみてください)

●新潟のフリーアナウンサー伊勢みずほさんの「上古町版・まちかど行ってみずほ」に参加しました【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002139.html

●新潟のフリーアナウンサー伊勢みずほさんの「上古町版・まちかど行ってみずほ」に参加しました【2】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002140.html

●2010 NIIGATAショップデザイン賞関連企画「魅力ある店づくりから始まるまちづくり」シンポジウム〜新潟のフリーアナウンサー伊勢みずほさんが考える店づくり、街づくり
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●伊勢みずほさん(新潟のフリーアナウンサー)による講演〜「まちなみ探訪 食探訪!行ってみずほオススメのまち」〜景観まちづくりフォーラム【2】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002293.html

●伊勢みずほさん(新潟のフリーアナウンサー)による講演〜「まちなみ探訪 食探訪!行ってみずほオススメのまち」〜景観まちづくりフォーラム【3】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002294.html

●伊勢みずほさん(新潟のフリーアナウンサー)による講演〜「まちなみ探訪 食探訪!行ってみずほオススメのまち」〜景観まちづくりフォーラム【4】
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●伊勢みずほさん(新潟のフリーアナウンサー)による講演〜「まちなみ探訪 食探訪!行ってみずほオススメのまち」〜景観まちづくりフォーラム【5】
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●ソースカツ丼が評判のお店「白孔雀食堂」を訪ねて(2)〜フリーアナウンサー伊勢みずほさんと行く新潟発着震災復興ツアーin会津若松【2】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002371.html

●働き者の手〜フリーアナウンサー伊勢みずほさんと行く新潟発着震災復興ツアーin会津若松【3】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002372.html

●東日本大震災にて新潟はペット支援に大活躍しました〜「新潟動物ネットワークNDNフェスティバル2011トークセッション」フリーアナウンサー伊勢みずほさん・大杉りささん、新潟動物ネットワーク代表 岡田朋子さん
http://kanzaki.sub.jp/archives/002377.html

●新潟県は動物達の殺処分ゼロを目指しています〜「新潟動物ネットワークNDNフェスティバル2011トークセッション」フリーアナウンサー伊勢みずほさん・大杉りささん、新潟動物ネットワーク代表 岡田朋子さん、ALIVE代表 野上ふさ子さん
http://kanzaki.sub.jp/archives/002382.html

ndn2.JPG
「それじゃ、またね。バイバイ」

Posted by kanzaki at 2011年06月19日 23:18