宗教学者・島田 裕巳(しまだ ひろみ)さんが、現代の葬儀について語っていました。
2011年の死亡者は、125万3千人でした。
前年2010年は119万7千人でしたので、1年で5万6千人も増えました。
これは、東日本大震災の影響だけではありません。
死亡者が毎年、自然に増えているのです。
ちなみに昭和30〜50年半ばまでは、死亡者が70万人でした。
125万3千人の方が亡くなっているという事は、同じぐらいの数だけ、お葬式が営まれているわけです。
けれど、そんなに多くのお葬式が行われているという実感がありません。
理由は、自宅で葬儀が行われなくなった為、目につかないからです。
今は殆ど、葬祭会館で行われます。
また以前より、お葬式の参列者の数が減りました。
その為、一人の人間がお葬式に参列する回数が減ったことになります。
お葬式の数は増えているのに、誰もそれに気づかないのです。
お葬式にも大きな変化があらわれています。
これまで「密葬」と呼ばれていた家族だけの葬儀が、「家族葬」として定着しました。
火葬場直行の「直葬(ちょくそう)」が急増しています。
「自然葬」として散骨、石塔を建てない「樹木葬」など、墓を作らない動きも生まれています。
また、「無縁墓」の増加という深刻な問題もあります。
無縁墓とは、葬られた死者を弔うべき縁故者がいなくなった墳墓のことです。
●しきたりに頼らずに、生前に自ら意思表示を | 『葬式は、要らない』を書いた島田裕巳氏に聞く
http://toyokeizai.net/articles/-/3814/
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小さい頃は近所で、お葬式をよく見かけたものです。
葬式の際、「葬式饅頭」を配る風習があったのですが、配られる度に必ず現れる浮浪者がいました。
私たち子供の間で有名でした。
今はセレモニーホールで行われるので、亡くなった人の数が増えていることに実感がありませんね。
お葬式とか、毎年のお墓参りというのは、親戚が一同に集まる機会でした。
今は結婚しない人が増えているので、そういった事も今後は減っていくのでしょうね。
単身で老後を過ごし、親族もあまりいない状態。
きっと将来は、お葬式そのもが消えてしまうかもしれませんね。
最近は、孤独に陷らないよう、地域のコミュニティで活発な交流をする動きがあります。
元気な時はそれで良いのですが、死亡した際、そのコミュニティはそこまで助けてはくれないでしょう。
お葬式には、お金が色んな意味でつきまといますから。
老後以前に、会社だって昔と違い、お互いがドライな関係です。
そんな関係の中で、相手の死にまで関わるのは難しい。
ましてや、相手の親族のことなんて希薄で当然です。
葬儀は、主役が仕切れません。
それ故、なにかしら思う所がある人は、生前に「終活」として行動するようになりました。
見ていると、多くの終活は、素晴らしい老後の為というより、人さまに迷惑をかけないよう、ひっそりと消えていく為の準備に感じます。
長年、社会のために働いてきたのですから、周囲に少しぐらい迷惑をかけても罰はあたりません。
もっと老後を生き生きとしても良いのではないでしょうかね。
死ぬときに後悔しても遅いのですから。
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