2013年10月07日

まんのう町立図書館(香川県)〜図書館が端末ごと、電子書籍を貸し出しています

今回は、好評の図書館シリーズです。


日経によりますと、電子書籍を貸し出す公共図書館が、少しずつ増えているそうです。
しかも、書籍データだけではなく、電子書籍端末まで貸してくれます。


kobotouch01.JPG



【電子書籍端末を貸し出します】


まんのう町立図書館(香川県まんのう町)。
人口約2万人の町に唯一ある図書館です。
2013年6月にオープンしたばかりです。
この図書館では、楽天の電子書籍端末「コボタッチ」を100台用意し、貸し出ししています。


●まんのう町立図書館
http://www.manno-library.jp/


●楽天株式会社: 香川県「まんのう町立図書館」、電子ブックリーダー「kobo Touch」を100台導入 | ニュース
http://corp.rakuten.co.jp/news/press/2013/0531_01.html


●電子ブック楽天<kobo>
http://kobo.rakuten.co.jp/
(現在、kobo Touchは、税込5480円です)


この端末に、太宰治や芥川龍之介、宮沢賢治など著名作家の約15作品が収められています。
無料コンテンツ「青空文庫」の書籍データです。
貸出期間は2週間。
自宅でゆっくりと好きな作家の著作を読めるので、貸し出し延長を希望する利用者が多いそうです。


現在、利用者は月に10人程度。
しかし、今後は増えていくだろうと、図書業務の総合プロデュース企業・株式会社リブネット(本社・三重県伊勢市)は期待しています。


●株式会社リブネット
http://www.libnet.co.jp/



【図書館へ行かなくても借りられる】


まんのう町立図書館では上記のほか、日経新聞、朝日新聞を電子新聞閲覧用iPadで閲覧利用できます。
電子書籍・iPadを館内貸し出ししています。(連続利用1時間まで)


今まで、iPad、kobo Touch共、著作権の切れた古い書籍を電子化した「青空文庫」しか読めませんでしたが。
本日10月7日(月)からは手始めとして、館内貸出iPadにて、すばる舎のビジネス書100冊が閲覧可能になりました。


更に11月からは、iPhoneやiPadを個人で持っている人は、どこからでも図書館にアクセスして、電子書籍が借りられるようになる予定です。
わざわざ図書館を往復しなくても貸し出し、返却が出来てしまいます。



【日本でも電子書籍が普及の兆し】


電子書籍の貸し出しは、2007年11月から運営を始めた千代田区立図書館の「千代田web図書館」などが先駆けです。


●Chiyoda WEB Library
https://weblibrary-chiyoda.com/


現在では全国で約20館となりました。
電子書籍を館内の端末でのみ閲覧可能にしていたり、端末の館外貸し出しを許可するところもあります。
また、自宅のパソコン、スマートフォンで閲覧できる例もあります。


今まで、公共の図書館の電子書籍貸し出しサービスは、作者没後50年を経過した著作権切れの作品ばかりでした。
最新の人気作は、なかなか読める状況ではありませんでした。
多くの出版社が、紙の書籍の売り上げが減ることを懸念していた為です。
その為、コンテンツが少なさから、図書館での利用者も増えない悪循環でした。


KADOKAWAと紀伊国屋書店、講談社の3社は7月、公共図書館向けに電子書籍を販売する共同出資会社を立ち上げる方針を表明しました。
図書館向けに、貸し出し専用の電子書籍を販売する予定です。


アメリカでは既に、図書館の蔵書を電子書籍で館外にて読めるサービスが広く利用されています。


多数の図書館から電子書籍の配信管理システムを請け負う「オーバードライブ」という企業が急成長しています。


●米図書館向け電子書籍配信OverDrive(オーバードライブ)とは? - NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2137291393974855901


KADOKAWAなど大手出版社が重い腰を上げたのは、オーバードライブ社のような企業が日本市場を席巻(せっけん)する事態を恐れた為です。


※※※


先行するアメリカでも、大手出版社は正直、歓迎をしていない様子です。
貸し出し回数に制限を設けたり、図書館への販売価格を大幅に高くしたりしています。


紙書籍よりも割高な費用の為、紙書籍のみで蔵書構成する場合よりも提供冊数は減少します。
購入費のほかに、オーバードライブ社へ継続的なサーバ維持費が必要ですし、低迷する資料費がさらに圧迫されます。


利用者にとっては魅力的な電子書籍ですが、商売として提供する側には大人の事情があり、どうにも先行きが明るくないような気がします。


※※※


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Posted by kanzaki at 2013年10月07日 19:46